R.B.ブッコローしか知らない異世界書店〔ストヨコ〕
坂崎文明
001 キムワイプ
思えば、理系の実験室で愛用されてる高性能ティッシュ〔キムワイプ〕を「文房具王になり損ねた女」こと、有隣堂書店の文房具バイヤー岡崎弘子が何故、紹介したのか、不思議だった。
最初のyoutube動画で実は有隣堂で取り扱いがない〔キムワイプ〕を紹介するというオチまで計算していたとも思えないが(天然か)、あの時、彼女の危険性に気づくべきだったのだ。
俺はR.B.ブッコローという人気youtubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」の人気マスコットキャラクターMCでオレンジ色のミミズクだ。
名前の「R.B.」は「リアル・ブック(真の本、真の知)」を意味し、「ブッコロー」は「book(本)」+「owl(ミミズク)」の「ブックオウル」から付けられた。
まあ、フクロウみたいな奴だと思ってくれればいい。
大体、それで合ってる。
フクロウとミミズクの違いは
詳しいことは、今、流行りの人工知能のChatGTPにでも聞いてみてくれ。
俺の
毎回、染めるのが大変なのだが、こういうちょっとしたオシャレは大切である。
それはともかく、有隣堂の横浜桜木町の新店舗「STORY STORY YOKOHAMA」〔ストヨコ〕がいつのまにか、異世界書店〔ストヨコ〕なるものに変貌をはじめたのは、実は異世界からやって来た〔魔女〕岡崎弘子がその店舗内に「岡﨑百貨店」(岡崎弘子独自のコーナー)を開店してからだった。
理系の実験室で愛用されてる高性能ティッシュ〔キムワイプ〕でビールグラスなどを
それは良かったのだが、数滴残ったビールが「いつのまにか少しづつ微妙に増えるという怪現象」がユーザーからぽつぽつ報告されはじめたのだ。
「勇者〔R.B.ブッコロー〕よ。我は秘密結社〔KAWAKAMI〕の魔術鳥〔トリさん〕である。異世界からやって来た〔魔女〕岡崎弘子の魔術災害をお前が防ぐのだ!」
大手出版社〔KAWAKAMI〕のWeb小説投稿サイト〔ヨムカク〕のマスコットキャラクターに酷似した、俺と同じような感じの茶色の鳥が突然、頭上に現れて一方的に宣言した。
「あんた、誰?」
まるで異世界転生小説のような設定を理解できなくもないが、とりあえず
「まあ、確かに、この複雑な設定をいきなり理解するのは難しいだろう。我は秘密結社〔KAWAKAMI〕の魔術鳥〔トリさん〕である。異世界からやって来た〔魔女〕岡崎弘子の魔術災害をお前が防ぐのだ! 勇者〔R.B.ブッコロー〕よ!」
おい、語順が変わっただけだよ。
仕方ない、そういう設定なのは理解した。
高性能ティッシュ〔キムワイプ〕でビールグラスなどを
「分かりました! 魔術鳥トリさん。勇者である俺、R.B.ブッコローは何をすればいいのですか?」
調子を合わせてみた。
「素直でよろしい! この複雑な設定を一瞬で理解する知力もなかなかなものだぞ! この私が授ける
魔術鳥トリさんは自信満々に説明した。
そして、
俺はそれから数滴残ったビールが「いつのまにか少しづつ微妙に増えるという怪現象」の起こったビールグラスを秘かに取り寄せて(魔術鳥トリさんのくれた箱の中にそういう魔術Goodsが入ってた)、
そして、魔術Goodsで持ち主に返していった。
この
が、また新しいグラスを使うと、再度、取り寄せて
いたちごっこだよ。
***
疲れたよ。とにかく、疲れた。
その日、桜木町の〔ストヨコ〕を俺が出たのは夜の24時を回ってたと思う。
隣の〔ワークマン女子〕の店舗から、白いイヤホンをしたショートカットの黒髪の小柄な女の子が現れた。
ダークグリーンの登山服と帽子に靴、ショートパンツに黒いタイツに包まれた美しい脚が映える。
季節は春。
俺は一瞬で恋に落ちた。
それが彼女、
ただの一方的な
脚フェチかもしれない。
〔参考動画〕
【超性能ティッシュ】キレイの概念が変わる!キムワイプの世界~有隣堂しか知らない世界001~
https://youtu.be/joXAMsm9u7k
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