第29話

父はすみれさんやソラの世話をほとんどした事がありません。ただ可愛がるだけでした。

りんの場合も可愛がるだけで世話はしません。でもりんは父にすごく懐いています。男の人が大嫌いなりんが唯一懐いて触らせるのが父です。そんなりんが父は可愛くて可愛くてたまらないようで溺愛しています。

りんは家族以外には懐いていません。家族以外、基本的には触られるのも激しく嫌がります。

女の人は好きなので近寄っては行きますが触らせはしませんね。お犬様を飼っている方だとか関係ありません。どんなに「動物には好かれやすい」と言う人達でも触らせません。むしろ吠えます…。

そんな家族にしか懐かないりんが父は可愛くて仕方ないのです。

それは分かりますが、父は世話はしません。そこはハッキリ言っときますね。

ただお風呂に入れて、自分の食べている物を分け与えるくらいです。

しかしお犬様や猫殿にも与えてはいけない食べ物がありますよね?

それを父は知らないのです。与えたら死んでしまう食べ物もあるというのに聞き入れません。

そもそも人間の食べ物を与えてはいけない!これは母にも言える事です。何故両親は人間の食べ物をすぐ与えてしまうのか…。

それによりりんが病気になったり死んでしまったらどうするのか…。全く考えていません。

両親の言い分としては「ちょっとなら良いじゃないか」「すみれやソラにも与えてた」と決まって言います。なので目を離すと人間の食べ物をすぐ大量に与えてしまうのです。

父がりんに玉ねぎを与えようとした時には私と姉は激怒しました。父はりんが早く死んでも構わないのか⁉︎そもそもりんはアレルギーを持っている以前に両親が何でも与えるので太っています。

毎回病院の先生から注意を受けているくらいです。

それなのに両親は「太ってる方が可愛い」と何でも与える事を止めません。いくら言っても逆ギレするだけです。

すみれさんとソラの時も「人間の食べ物を与えてはいけない」と病院の先生から怒られた事など忘れているようでした。

何も全部が全部与えてはいけないとは言っていません。味の付いていない物なら少し与えるくらいは大目に見てます。

しかし両親は聞き入れません。「すみれやソラには…」と言って何でも与えてしまうのです。

それでソラは病気になってしまったという事を忘れたのでしょうか?

それにすみれさんやソラにも与えてはいなかった物まで与えてます。

それにより恐れていた事が起こりました。

りんは塩分の摂りすぎで心臓の数値が悪くなったのです。

これにはもう私も姉も我慢の限界に達しました。

2人に延々と説教をして、心臓の数値が良くなるまで何も与えてはいけない!と言い聞かせました。このままではりんは死んでしまう!りんが死んだら2人のせいだ!!と激しく怒ってようやく大人しくなりました。

しかしりんの方は今まで貰えてた人間の食べ物に慣れてしまっていたので急に与えてもらえなくなりドッグフードを食べなくなりました。

そうなるようにしてしまったのは両親です。りんは人間の食べ物を与えられて濃い物しか食べなくなりました。心臓の数値が正常になるようにしばらく薬を飲まなくてはならなくなりました。


心臓の数値が正常になるまで約半年ぐらいかかったと思います。

りんは両親が思っているよりも身体が弱い子です。それにりんはすみれさんやソラとは違います。すみれさんやソラには通用していた事がりんには通用しません。

私は両親にも「りんはりん!すみれさんやソラとは違う!!」と散々言い聞かせました。

それでも両親は何かしら与えないと気が済まないようです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る