犬の肉球は香ばしい

立花万葉

第1話

我が家に初めてお犬様がやって来たのは私が高校2年生の夏休み。子供の頃から「犬が飼いたい!」とお願いしても「ダメ‼︎」の一点張りだったのに…。

母が親戚の飼っていたパグに一目惚れして、あっさり飼うことになりました。


夏休みのある夜、お風呂から上がると父から

「犬飼いたいか?」

「うん!」

「明日ウチにパグが来る」

「はぁ⁉︎あ、明日⁉︎」

「姉ちゃんが連れてくる」

「お…おう。分かった」

あまりの突然の父の告白(?」)にビビりましたが、念願の犬を飼う事ができるという事て浮かれました。しかし私以上に浮かれていたのが母です。

「パグだったら飼っても良い。むしろ飼いたい‼︎」

母の一言で我が家にお犬様がやって来る事になりました。

私、子供の頃からずっと「犬飼いたい!」ってお願いしてたよね?でも飼ってくれなかったよね?

お母さんが「飼いたい」って言ったらすぐ飼うってどういう事⁉︎ウチで一番偉いのは母なのか⁉︎

色々思う事はあれど我が家にずっと夢だった犬が来る!やっと犬が飼える!さてどんな子が来るのかな?楽しみだなぁ…。


そして次の日母と2人でワンちゃんを迎えに行きました。車の中で「なんて名前にする?」「どんな子かな?」「パグって従姉妹の姉ちゃんが飼ってる犬種だよね。可愛いよね〜」などキャッキャ、ウフフで大盛り上がり。連れてくる姉の事などサッパリ忘れてました。


待ち合わせ場所で待つ事約1時間。

念願のワンちゃんをキャリーバックに入れた姉が来ました。

「ワンちゃんは?」

「私におかえりなさいはないの⁉︎」

「そんな事より早くバッグからワンちゃん出してあげないと可哀想!」

「お帰りなさいも言ってもらえない私の方が可哀想!」

「うるさいな。早くワンちゃんに会わせてよ!」

「はいはい。言っとくけどこの子訳ありの子だからね。」

「…訳あり?」

「車の中で話す。色々訳ありだから。」

訳ありとな⁉︎一体このワンちゃんの何が訳ありなのか?…まぁ良い、ワンちゃんを飼えるなら!どんな子だってドンと来い‼︎


ご対面‼︎


「超可愛い‼︎」

「やっぱりパグは可愛いわぁ〜」

ひとしきり可愛い、可愛いと愛でる母と私に姉が一言。

「名前はすみれ。もう自分の事『すみれ』として認識してるから他の名前には反応しないからね」


なんですと⁉︎


もう名前が『すみれ』以外に付けれないのな⁉︎

名前を考えるの楽しみにしてたのに…。

…まぁ良い。『すみれ』という名前も可愛いから許す!


こんな感じで我が家にすみれさんはやって来た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る