今日も空音が宙を舞う君との関係は、それもまた愛なのかな。

夏乃洋介

第1話 誰かの理想に

 大学一年生の冬、一人暮らしの部屋で僕は洗面台の前に立ち尽くす、


 左の下唇にニードルを刺す。

じゅくじゅくとした音をかき分けながら貫通したのを見て唇が痙攣していた。


 ヒカルはあることに気づく。ニードルとピアスのゲージが違った。一度ニードルを貫通させた後、その小さな開いた穴に無理矢理ピアスを差し込んだ。

 

 ピアスが肉をかき分けていく。


 右の下唇にもニードルを刺す。

切れ味の無くなっているニードルを無理やり貫通させ、血まみれになっている鏡越しの自分を見て涙を流す。

 

 悲しみを痛みで和らげる。


 左はコーンのピアス、右にはサーキュラーバーベルのピアス。


 涙が止まらない。

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