第37話 フレイタス署内にて

捜査室で私は、ダニエル・J・コーベットは、机をダンッ!と叩いた。


「ふざけるな」


せっかく、ユースティティアへ捜査のメスが入る千載一遇のチャンスだったのに、上層部…いやもっと上の政治家の連中め…汚職が発覚するのを、恐れ、今回も握り潰しやがった。

スカーフェイスは、あのままだったら、喋りそうな雰囲気だったのにも、関わらず、何とも忌々しい。

だが、今回だけでは、終わらない。

ユースティティアも一枚岩ではない。

内紛が必ず、起こる筈だ。

特にナンバー2のロジャー・セラノは、俺の手で捕まえてみせる。

―――あの男が起こした、他のマフィアとの抗争で我が妻、娘は奪われたんだ、許せるものか…。


※※※


捜査室を出た所で、署長に会った。


「おお、ダニエル警部!じゃないか、試合おめでとう!あとは、スカーフェイスとユースティティアとの件は残念だったな」


「いえ、上からの指示は絶対なので、それはマフィア連中と変わらないでしょう」


私は半ば皮肉を込めて、署長にそう言ってやった。

もっとも、署長の立場があるので、政治家の圧力には、抗えないのだろう、そこは同情する。


「マフィア連中と同じか、君も言うようになったね、だが…それは事実だがらワシも言い返せないよ、だがね、奴らも今後とは違ってくる、その後、圧力に屈せず捜査をするつもりでいる、ダニエル警部、君にも期待している」


「私は、今後、どう動くべきでしょうか? 経過観察で奴らの動向を注意深く警戒しておくのが、私は良好だと思いますが」


「ユースティティアは、今、跡目を巡っていざこざが起きてるみたいだね、観察もいいが、思い切って接触するのも手かも知れないよ」


「はあ、それは…」


「先代の娘、アザレア・ガルベア、そして、先代の隠し子であったスカーフェイスに聞き込むというのも手かなと、思うんだよ」


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