第12話 邂逅

あの、月明かりで照らされた顔に傷のある人は誰だったんだろ。

たしか…スカーフェイスで呼ばれていたっけな。

結局、お礼を言えずじまいだったし、なんかモヤモヤする。


ピーンポーン!

自宅のチャイムが鳴った。


うとうと、眠い中、自室から階段を降り、自宅のドアまで、歩いた。

誰かなと思いドアのチェーンロックを付けたまま、ドアを開けると、そこにはマネージャーのローレルがいた。

チェーンを外すと、ローレルが入って来て、これから事務所まで、行くよと言う。


「今からですか!?」


「そう、驚いた?ミーノット仕事よ」


「今日、休みだったんじゃ…」


「そんなこと言わずに…ほらほら乗って!」


「はーい」


ローレルに促されるままに、自動車に乗り、事情を聞くと、隣国デーモスクラトスにて、コンサートの企画が舞い込んだそうで、私にも聞いておいて欲しいそうだ。


「それなら、事後報告でもいいんじゃないん?」


それをローレルは、運転しながらチッチっと言い否定する。


「こういうのは、早め早めにやっておくのよ、今回のはウチだけじゃなくて、向こうの事務所の社長さんも来てるんだから、結構大きなね」


デーモスクラトス側の事務所か…大手だとイェグディエルかな。


「ウチのミカエル事務所だけでは、出来ない仕事だからね…でも、キーである、あんたがいれば一発OKよ」


「そうなのかな…」


仕事の雑談話してるうちに、窓を見ると誰か、ランニングをしていた。

それも、ペース早めに…そしてよく見ると顔に傷がある。

あれは…あの時の!?


「ローレル車停めて!」


「何々、いきなり!」


「いいから!」


幸い、車の通行量が少なく、すぐに停めてくれた。私のお願いを聞いてくれて、ありがとう、ローレル。


「待って!そこの人!」

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