二の三

闘「どうすんだよ。こっちの洗濯機壊れてんだろ?!」


然「すみませんが、アレをお願いします。乾燥は自分でやりますから…」


闘「分かったよ」


闘は、洗濯機に片手を入れて小声で叫んだ。


闘「ウォーター・トルネード」


たちまち、洗濯機の中に水の渦ができて、洗濯が始まった。


闘「洗剤は同じだろうな?」


闘は、思わずシープに訊いた。


シープ「そこまでズルしませんよ。どうせこっちの勝ちはほぼ決まりです!」


それから約10分後


闘「こっちも洗濯終了だ。然、後は任せた!」


然「ハイッ!」


シープ「今、外は良く晴れてるが、今から干せば、乾かすのにまる1日、いや、少なくとも夕方まではかかるはず。こっちは後5分程で乾く。どうあがいても私の勝ちだ!」


然「それはどうでしょう。まだ分かりませんよ」


と言うと、然は洗濯物を空中へ投げ上げた。


「ファイアー・ストーム 春風の舞!」


洗濯物は渦を巻くように舞い上がり、2、3分程で完全に乾いた状態で下に落ちてきた。


然「どうやら、乾燥は私たちの勝ちのようです」


シープ「そんなバカな…」


ピーピー


シープ「乾燥はこっちも終了だ。後は畳み対決だ!畳みの早さと丁寧さで私に勝てる奴など居らん!」


然「それはどうでしょう?」


然は、次々と洗濯物を畳んでいった。


シープは、それを見て、また叫んだ。


シープ「バカな!こんなハズは…」


それでもシープの方が少しばかり早く畳んでいた。しかし、シープは焦っていた。そのため、積んだタオルが徐々に傾いている事にシープは気づいていなかった。


然の畳むペースは一定で落ちなかった。シープより遅かったが、確実に丁寧にタオルを畳んで積んでいった。


シープの方が、ついに、タオルが無くなった。


シープ「私の勝ちだ!」


シープは大声で叫んだ。しかし、その拍子に傾いていたタオルの山が崩れてしまった。


シープ「しまった!」


慌てて、シープは積み直したが、然の方が先に積み終わった。


然「どうやら、私の勝ちのようです」


シープ「くっそー!」


思わず床を叩いて悔しがるシープ。


闘「勝ちは勝ちだ。先の部屋に行かせてもらうぜ!」


と闘は、勝ち誇ったようにシープに言った。


シープ「待て!」


闘「何だ。いさぎよくないぞ!まだ何かしようってのか?」


シープ「ほら、次の部屋である琴牛宮の鍵だ!」


そう言うと、シープは、闘に鍵を投げてよこした。


然「ありがとうございます」


然は、礼を言った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る