第三章 琴牛宮での戦い -美旋律(びメロ)対決-

出口を出て真っ直ぐ行くと次の部屋はすぐに見つかった。


闘「こんなにわかりやすくていいのか?」


然「『琴牛宮』って書いてありますし、多分ここでしょう」


闘「本当は『金牛宮』って言うのが正しいんじゃねぇのか?」


然「まぁ、とにかく入ってみましょう」


♪テン、テレテレテレテン。テン、テレテレテレテン。ヒュルーン、ヒュールルル…


闘「明けましておめでとうございます!」


然「はい、おめでとうございます」


闘「って、まだ正月じゃねぇだろ!!」


然「これは、お正月によく聞く琴の名曲『春の海』ですね」


闘「何で、その『春の海』がこんなとこでかかってんだよ!」


然「さぁ、なぜでしょう…?」


闘「然、あそこに誰かいるぞ」


然「あの方がこの宮のゾディアックさんでしょうか?」


今まで鳴っていた琴の音が突然止んだ。


男「やはり、来たか…。私がこの琴牛宮の

ゾディアック、 オックスだ!」


然「では、私達はあなたと戦えばいいのですね?」


闘「それはそうと、お前の弾いてる?その楽器らしき物、それは何なんだ?」


唐突に、闘はオックスに尋ねた。


オックス「琴に決まっているだろう」


闘「どう見ても、俺には木彫りの牛の背中に弦が張ってあるようにしか見えねぇが…それでも琴なのか?」


オックス「牛の形をした琴の置いてある部屋(宮)だから、ここは『琴牛宮』なのだからな」


闘「何だそりゃ?」


然「で、私達は何をすればよろしいのでしょうか?」


オックス「俺と、琴で勝負して勝ってみろ」


闘「俺、琴なんて弾いた事ないぜ。勝てるわけないだろ!」


然「仕方ありません。では、私が…」


闘「然、お前弾けんのか?」


然「一応、基本くらいは…」


闘「じゃあ何の曲で勝負だ!?『春の海』か?」


闘は、オックスに尋ねた。


オックス「『さくら さくら』にしよう」


闘「そんな曲でいいのか?」


オックス「ハンデですよ。私の琴の腕に勝てる人などいませんから…フフフ…」


闘「『フフフ』って、アイツ、俺達を馬鹿にしやがって…。然、バシッと決めてやれ!」


然「はいっ!」


二人は、普通の琴の前に座った。


然が、突然手を挙げて言った。


然「質問です。この勝負の判定をする審判のような方は?」


オックス「アイツだ!」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る