余命1日

@Nakahara

第1話

医者「明日、死ぬでしょう」

たかし「え?」

たかしは「余命1日」を告げられた。これはたかしの最後の1日の物語である。どうする?とりあえず、たかしはコーヒーを飲んだ。胃に入った。胃の機能は大丈夫だった。たかしの病名は心臓病だった。たかしには長年連れ添った妻のみえこがいた。

たかし「みえこ、俺は明日死ぬ」

みえこ「え?」

たかしはみえこの作った味噌汁を最後に飲みたかった。妻の手作りの味噌汁飲んでからなら死ぬのは悪くない。そしてみえこに頼んで作ってもらった。美味かった。たかしはみえこに感謝の言葉を伝えた。また、これまで一緒にいてくれてありがとう、と伝えた。ルターの名言に「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える」というのがある。たかしはリンゴの木を植えようと考えた。そう、「明日死ぬ」とは「明日世界が終わる」と捉えられるから。哲学的に違いがあるかもしれないが。普通、そうと言って良いだろう。たかしは自分の家の庭にリンゴの木を植えた。苗から植えた。大きく育ちますように、と願いを込めて。たかしの心臓はボロボロだった。たかしは心臓の病気を子供の頃から持っていて、それでもサッカー選手になりたいと頑張った。たかしはサッカー選手になった。そして、レアル・マドリードからのオファーの噂が上がるような選手だった。ただし、たかしは40分しか試合に出れない選手だった。ある試合。前半3対1でたかしの所属するチーム、アルビレックス新潟は負けていた。頑張れアルビレックス。後半15分の段階でたかしが投入された。たかし、ハットトリックで3対4。そのまま試合終了。アルビレックス勝利。という試合もあった。過去の栄光である。そんな思い出におもいを馳せながら、たかしはみえこと一緒にたかしの実家に行った。

たかし「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、ありがとう。俺は明日死ぬ。最後に一緒に夕食を食べよう」

たかしは最後の夜を妻と実家で過ごした。翌朝、たかしは実家の庭にもリンゴの木を植えた。そしてたかしは病院へ戻るため、みえこと家族と実家を後にした。午後2時33分、病院にて、たかし、死亡。

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