第9羽 ありがとう! お空の旅に行ってくるね??

「あれ? お空を飛んでる??」

 女の子目掛けて猛進していた僕。おかしいなぁ? 足元が宙に浮いてる。そうか! きっとこれはラビスタのイベントだね! よぉし! 行ってくるぞぉ!!

「ありがとう! お空の旅に行ってくるね??」

 これがラビスタのイベントかぁ。新しい体験ってわくわくするね! 足元でゆきちゃんが何か言ってるけど、きっと見送ってくれているんだね! ゆきちゃん、行ってくるね!!

 僕はいつも地面を走り回っていたけど、お空ってすごい! ゆきちゃんもちっちゃくなってるし、パパとママもちっちゃくなってる! おもしろーい!!

 ラビスタの会場も少しづつちっちゃくなってる。お空にはカモメさんやトンビさんも飛んでる。何だか楽しそう!

 ゆきちゃんには内緒だけど、僕には夢があるんだ。いつか僕はお空を走ってお月様へ行くんだ! ママが話してたんだけど、お月様ではウサギがお餅をついて遊んでいるんだって! だから僕も、お月様でみんなと一緒にお餅を食べるんだ!!

 けれど、まだお月様は出てないからそろそろ帰ろう。さて、カラスさんにここから下ろしてもらわないと。

「ありがとう! ゆきちゃんが心配するから帰るね??」

 お空へ連れてきてくれたカラスさんにお礼を言った。けれど、カラスさんの表情が怖い......。

「何言ってるんだ? お前は今晩、俺のご馳走になるんだよ?」

 カラスさん、何を言ってるの? 冗談だよね......?

「お前、自分の置かれた立場が分かっているのか? 今更帰れるわけねえだろ!!」

 え? お空の旅じゃないの!!? てかご馳走って......嘘だって言ってよカラスさん!!!

「おい、暴れるんじゃねぇ!! ここで落ちたら共倒れだぞ!!」

 食料だなんて嫌だぁぁぁっっ!!! ゆきちゃん助けてぇぇぇっっっ!!!!!

「ここは年貢の納め時だ。観念するんだな?」

 年貢って何!? 年貢って怖いもの?? 年貢嫌だぁぁぁっっっ!!!

「いい加減にしろっ!!! お前に逃げ場はねぇんだよ!!!」

 それでも僕は逃げる!!! 僕はお空を走るウサギになるんだぁぁぁっっっ!!!!!

「な、何だぁ!!?」

 カラスさんは後ろを見て慌てている。気のせいかなぁ......丸い何かがものすごい勢いで飛んでくるよぉぉぉっっ!!!!!

「ぎゃあぁぁぁっっっ!!!」

 丸い何かは僕達に直撃した。大変!!! カラスさんは態勢を崩して僕を手放しちゃったよ!!?

「うわぁぁぁっっっーーー!!!」

 僕は真っ逆さまに落ちていく。誰か助けてぇぇぇっっっーーーーー!!!

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