第25話 小日向矢夏は「甘味」を知る
「二人で帰るの久しぶりだね暗理!」
「………そうだね」
普段なら
その為帰宅しようとした暗理をとっ捕まえ……否、放課後デートに誘ったのだ。
「………で?どっか寄ってくの?」
隣を歩くちっちゃい妖精が訪ねてくる。学校もあり疲れたのか、若干眠そうだった。
「うーーん特に決めてないんだよね……あ、でもスマホケース買い替えたい!暗理はどっか行きたいところある?」
「………お腹空いた…かも」
「お、じゃあケース見た後ファミレス行こっか!」
「……!…賛成」
飯が食える喜びを隠しきれずにいる暗理の手を引きながら、私たちは目的地へと向かった――…。
☆☆☆
「ねぇねぇ暗理、このピンクのケース内側にラメ入ってて超可愛くない⁉どうしよ~」
「………そうだね(訳:どれも一緒に見える)」
私と暗理は携帯電話アクセサリーの専門店に訪れていた。
店内にはケースやリングなど、日々の生活で使う携帯をより華やかにする為のアイテムが揃いに揃っていた。楽しい。
「………矢夏には…この水色とか似合うかも(訳:はよ選べ)」
「お、そうかなぁ!じゃあ暗理お揃いにしようよ」
「………そういうことは彼氏とやれ」
「え~~だって
「………付ける機会がないだけ…買って押し付ければいい」
「そっかッ‼ありがと暗理、買ってくる!」
「………単純だな」
手を差し伸べてくれた親友に心からの感謝を伝え、私はケースを購入した。
☆☆☆
「ご注文は何になさいますか?」
「えーーっと、ドリンクバー二つとチーズハンバーグを一つ……暗理どうする?」
「………メロンとチョコの生クリームパフェを一つ」
「それ凄い量ありそうだけど大丈夫?……じゃあそれでお願いします」
「かしこまりました!少々お待ちください」
お店を出た私たちは暗理の希望通りファミレスに入店していた。
平日ということもあり思った以上に空いていたので助かった。
「……?暗理どうしたの?」
目の前にちょこんと座っている暗理は先ほど注文を聞きに来た店員のほうをジッと見つめている。
「………あの店員さん…おっぱい大きい」
「おいこらエロガキ」
目を輝かせている暗理の頭をひっぱたき、私は飲み物を取りに席を離れた。
《数分後》
「お待たせ暗理~~…って、もう食ってるし!」
「……ん、ありふぁとやなひゅ」
巨大なパフェを口の中に詰め込んでいる暗理の傍にジュースを置き、私もハンバーグに喰らいついた。
「あーー…めっちゃ美味い、暗理はどう?」
「………うめぇ」
「あははっ口の周りべちょべちょだよ?」
………そう言えば暗理とこうやって二人きりで遊ぶのは随分久しぶりな気がする。
いつもは蒼司や黒羽、最近はウリエルもいるから尚更そう感じる。
私と二人で……
誰かと二人きりになるといつも余計なことが不安になってしまう。
私の悪い癖だ。
「……矢夏」
「ん?なに暗理?」
「…………………………また遊ぼうね」
「……ッ!」
あぁ……、やっぱり………、
「……?どうしたの?」
「ううん、なんでもない!ハンバーグやるよ嬢ちゃん!」
「…………キャラどうした」
私の親友は、めっちゃいい奴だ。
《十分後》
「………矢夏…もう…パフェきつい」
「だから言ったじゃん、まだ半分以上残ってるしッッ‼」
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