愛娘の母と家庭教師、初デート。
第11話 デートの場所、って難しい?
「映画、美術館、あとは……」
「お母さん、みさきさんはお母さんがいればうちの近所の公園かコンビニのイートインでも嬉しいよ、きっと?」
愛娘からは、ありがたい助言が。でも、いくら何でも、それは……。
みさきさんは、大学での単位はほぼ取得済、卒論は既に素案(テーマ)を提出していて指導教授からは了承されている。
内定先との遣り取りはほぼオンライン、業務もほぼ同じ。
「業種などは勿論ですが、フレックス、裁量労働、オンライン対応なのが素晴らしい会社なんです。頼み込んで授業を聴講させて頂いていた母校の物理部の先輩が准教授でいらして、就活先への推薦状も頂けまして! 准教授の秘書さんのお身内が勤めていらしたから、会社訪問も早くからできました! 最高です! あ、お身内さんも准教授の同級生で、実質先輩なんですよ!」
初めての……デート……の帰り道、私達二人を我が家に送ってくれたその道すがらのこと。
愛娘からも先ほど名前が出たいわゆる近所の公園。そこでみさきさんが色々と話してくれた内容を反芻してみる。
「しずるさんのことだから、もしかしたら私が多忙かもと遠慮されるかも知れないなあと思いまして。お誘い、お待ちしております。もちろん、私からも誘わせて頂きますね。じゃあ、二人をお送りします」
そう話してくれていたみさきさんは、きらきらした表情で若さが溢れていて。
思わず、差し出された手を取ってしまったわ……。
准教授さんは私の元旦那さん、そして愛娘由都の素敵なお父さん、
確か、その会社の先輩さんは高校当時の生徒会役員さんで、准教授さんと今でも交流があるらしい。
みさきさんとは直接親交があった訳ではないそうだ。
後輩の面倒まで見てくださるなんて、さすがは京さんの教え子さん……。
お友達から、とは言っても、お付き合いのほうに天秤を傾けたいと思ってくれている人とのデート。
その場所……。
「難しいなあ……」
「ねえ、お母さん。私がみさきさんのこと、色々お母さんにお話してたよね? その中の『みさき先生、お母さんのことが大好き』とかも全部、
「二人でどうぞ。私もたまには一人晩ご飯したいから。京さんによろしくね」
「了解。行ってきまーす!」
そうなのよね。
(由都ちゃんのお母さんだから)素敵な人。だと私だけがずっとそう思っていて。
みさきさんが熱心に話してくれていたのも全部、(恋愛対象として)素敵な人……だったのよね。
そんな風に思ってくれていた人とのデート……。
今日の由都は在宅の京さんの所で参考書の疑問点を解説してもらう予定。
みさきさんの家庭教師はとりあえずお休み中。大学入学前にまた少し勉強を見て頂くかも、ということになった。未定の予定、という感じ。
そして、今週末も由都は京さんとお出かけらしい。
これについては、父娘が仲良しで何より。私も嬉しい。
ただ、そうなるとデート……。は、一応来週末、かな。
そうなると、あと一週間と少しね。
どこか良いところ、見付かるかしら……。
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