53th mission 決戦へ

 ──それから3時間後。吸血鬼となったペチュニアおばさんを止めるための戦いを終えた俺達。結果的に誰1人怪我する事なく済んだは良いが、しかし作戦会議のためにと俺達は一度ホテルに戻る事にした。いつもいた食堂に俺とサマンサ、ガリレオの3人が向かい合う形で座った。ちなみに俺の隣は誰もいない。




 ティーカップの中に入ったハーブティーを飲み干すとガリレオが話し始める。


「……ここからが本当の戦いになる。おそらく今日のこれから起こる決戦。そこでは、さっき戦った吸血鬼と同等かそれ以上の実力を持つもので溢れかえってる事だろう。そうなれば……さっき以上に危険な戦いとなるに決まっている」




 ──俺は、ブラックコーヒーを飲みながらコクコクと頷く。



 さっき吸血鬼と戦ったのは俺自身。ガリレオの言う事を誰よりも理解できた。俺は、コーヒーカップを置くと、それと同じタイミングでガリレオが言ってきた。



「そこで……お前ら2人に渡しておきたいものがある」



 彼は自分の胸元に装着していた鎧を一度ベイゴマに変えてから、鎧の下の薄いペラペラの白い服の胸ポケットに入れておいた銀色のネックレスのようなものを3つ取り出して、それをテーブルの上に置いた。それを見た俺が喉元まで出かかっていたこのネックレスの名前を思い出そうと喋る。


「これは……! さっきのネックレスじゃないか! えーっと……」


 すると、すぐにサマンサが言った。




八角星の煌刻紋オクテリアじゃない! しかも3つも!」



 そこには、2つの十字が真ん中の交わっている場所で上下左右と斜めに重なりあって星の輝きのように八角星を描く形でシルバーに輝くネックレスが置かれていた。



 さっきぶりに聞いたその名前に俺はコクコク頷くのだった。


「あっ、あぁそうだな。八角星の煌刻紋オクテリアだ。聖なる証だな」



 俺の知ったかぶりにガリレオが少しだけ疑うような顔を向けて来たが俺はわざと気にしない態度でその場を乗り切る。そして改めて説明を始めたガリレオが言った。



「…… この八角星の煌刻紋オクテリアは、普段俺達が教会へ祈りを捧げに行く時に持っていくものとは少し違う。さっき、王国の方に連絡して早急に作ってもらった特別性。王国の最高位に君臨する修道士13人の祈りと太陽の光を浴びせて作った超特別性の対吸血鬼専用武器だ」



 ──おっ、おぉ! なんか凄いの来たなぁ。


 俺が色々意味もわからず感心しているとガリレオが説明を続けてきた。



「……さっきの大我と吸血鬼の戦いを見て、吸血鬼に八角星の煌刻紋オクテリアが効くのは分かったが、しかしそのダメージ量は大した事はなかった。苦しめるのがせいぜいと言った所だろう。あの吸血鬼相手にそうの程度ならおそらく他の吸血鬼は、同等かそれ以下にしか効かないだろう。そうなれば……吸血鬼との戦いではそこまで実戦向きではない。だが、奴らに対抗できる武器は、多い方が良い。そこで俺がさっき王国の方に交信魔法で伝えて、転移の魔法陣でこちらへ送ってもらった切り札だ。コイツは、大我と吸血鬼の戦いを見てその上で作ってもらったもんだから。バッチリ通用すると思うぜ」



「……ガリレオ」



 ──なんて用意の速さだ。俺とあの吸血鬼の戦いは、ちょうど3時間くらい前。そこからこんなものを準備できるなんて……とんでもない王国だ。




 そんな事を密かに思いながら俺は、テーブルの上にあった八角星の煌刻紋オクテリアを掴み、ズボンのポケットの中に入れる。そして、ガリレオの方を見てサマンサと目を合わせた後にガリレオの声を聞いた。




「……決戦は今日この後すぐ! 吸血鬼相手には太陽の光とこの八角星の煌刻紋オクテリアそして、上代魔法の真なる力による聖なる波動のエネルギー! こいつらわざと駆使して……これより、吸血鬼との最後の戦いを決行する!」





「「おう!」」



 俺達は、それから決戦の場所へ歩き出したのだった……。


















 ――To be continued.

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