46th mission もうちょっとなんだけどなぁ……。

 ──この世界における聖なる証は、十字架ではなかった。八角星の煌刻紋オクテリアと呼ばれる八角星状の棒が全方位に伸びた形のものだ。オクテリアという名前は、おそらく俺のいた世界でいう所のロザリオにあたるもの何だろう。俺は、サマンサの渡してくれたロザリオを掴もうとジャンプ。しかし、飛んだ事によって隙が生まれたその瞬間に俺の太ももに紅の槍がブッ刺さる。そのあまりの痛みに俺は、悲鳴を上げそうになるが必死に耐えて……何とか空中にあった八角星の煌刻紋オクテリアを掴む事に成功。そして、吸血鬼が太ももから槍を引き抜いて、トドメを刺そうとしたその瞬間に俺は、銀色のけん玉を野郎に当てる。それこそが、八角星の煌刻紋オクテリアから作り上げた聖なるけん玉。吸血鬼にとっては毒が塗ったくられた武器にしか見えないだろう。


 この強烈な攻撃に野郎は、血反吐を吐いて苦しみだしたんだ! ……さぁて、ここから反撃開始だぜぇ〜!

















 俺は、槍の一撃を受けて完全に麻痺してしまった右の太ももに視線を送りながら聖なる銀のけん玉の糸を長くしていく……。そしてある程度の所まで長くなった所で俺は銀の糸を苦しんでいるあの吸血鬼の女の腕に巻きつける。




「ひぃいぎぃいいゃあああああああ!」


 攻撃などしていない。ただ銀の糸を巻きつけただけでここまで苦しんでくれるのだ。




 ──こりゃあ、最高だ!




 そうして俺は、銀の糸で巻きつけた女吸血鬼の腕を強く引っ張って俺のいる所にまで来させようとした。すると、たちまち吸血鬼は、よろよろと力の抜けた様子で俺の方へと引っ張られていく。



 ──そして、ある程度の所まで近づいてきた所で俺は、腕に巻きつけた糸を解く。そして、糸にしてしまった銀の鉄球を元の大きさに戻していき、そして元通りになった所で攻撃を再開する。




「……くらいな! ボール・スラスト! 3連発だぜぇぇぇぇぇぇ!」



 けん玉の先端の鉄球が敵を捉える。腹部、顔面など様々な箇所にけん玉の攻撃が炸裂し、吸血鬼の体がボコボコと凹みだす。また攻撃が当たるたびに女は、体から激しく血を流す。特大のダメージが入っている証拠だろう。鉄球が女の体のあちこちに当たって、肉が踊っているのがわかる。




 チラッとだけ、おっぱいに鉄球が当たって、ポヨヨ〜ンと弾力の良い感触で鉄球が跳ね返ってきたのを見逃さなかったのはこの際、内緒だ。



 ──まっ、おっぱいを痛そうに抑えているのを見た感じかなりダメージ入ってる感じだし……んまっ、いっか!




「しゃああああ! もういっぱぁぁぁぁぁつ!」




 4連撃目のボール・スラストが炸裂。鉄球のパワーが吸血鬼を更に苦しめる。女は、そのあまりに激しい勢いのある俺の攻撃に体が少しだけ吹っ飛ばされてしまい、そのまま地面に自分の背中をぶつける。


 女は、もうヘトヘトだ。全身から血を吹き出して、さっきまでの余裕と恐怖がまるで嘘であったかのようだった。



 女のその様子を見てサマンサがお腹を抑えながら言った。




「……すっ、凄い! 吸血鬼にこんな弱点があったなんて!」




 驚く彼女は、吸血鬼と俺の戦いをじーっと見ていた。しかし、そんな彼女の隣で同じくお腹を抑えているガリレオがサマンサに告げた。



「……確かに凄い。吸血鬼の弱点を見抜くこの発想力。流石だ。戦闘センスは確かにある」



 ガリレオは納得した声でそう言う。しかし、それと同時に彼の顔が若干曇りだす。彼は、吸血鬼の方を見つめる。すると、吸血鬼の方は、これだけの攻撃を受けても尚、立ち上がってくるのだった。



「……」




 ガリレオは、少しの間黙っていたが、やがて喋り出す。



「……だが、今のままじゃ倒す事は無理だろうな……」







「え……?」


 サマンサがそう言うとガリレオは、真面目な顔で俺とこの女の戦いを眺めていた。








 悔しいが……だが俺も何となくそれは察知していた。




 ──やはり、これだけじゃ吸血鬼を倒すには至らないか……。













 ――To be continued. 

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