24th mission 鋼のベイゴマ使い登場!

 俺は、ある時突然異世界に飛ばされた。現実世界でも引きこもりのニートだった俺は、この世界でも職務適正なしと診断されてしまう。しかし、そこをエルビラさんという美少女に救われて、禁断の石と美少女アリナを運ぶ事になる。道中、アリナの側近のサマンサという魔女と戦った俺は、彼女らと共にカルデルーポ・ファミリーを倒す事を誓い合う。そして、冒険を始めた俺らは休憩のために近くにあった町に寄った。すると、そこで俺を待ち構えていたのは、銀色の鎧を身に纏った謎の男。男は、最初こそ剣で戦ってきたがすぐに魔法を発動。

 なんと、それこそが……。


















「……ベイゴ魔法!?」



 どうなる!? 第24話!

















 ――この世界にもけん玉が存在するのか? ギルドで魔法を診断された時に少しだけ考えていた事だ。でも、受付のお姉さんの反応を見るにそれはないと思った。でも、今目の前で起こっているこれは説明しようがない。



 まさか、けん玉に続いて……ベイゴマまで出てくるなんて誰が予想しただろうか? 俺は、鎧の男がベイゴマを手の中に持っている姿を見て口をあんぐり開けてポカンと見ていた。すると、鎧の男は不敵な笑みを浮かべて俺に言ってきた。




「……ふっ! これが俺の魔法。ベイゴ魔法。ふふふ……あまりの凄さにどうやらビビっているようだな……」




 ――いや、えっ……?





 確かに凄いが……。何だろう。それでどうやって戦うというのだ……。いや、俺のけん玉も大概だが……ベイゴマって…………流石にちょっと……。俺より職務適正ないだろうこの野郎。




 俺が、混乱する頭の中でそんな事を思っているとすかさず目の前の男が攻撃を仕掛けてくる。




「……隙アリだ!」


 刹那、男は手に持っていた鋼でできた長い糸を俺の下に向かって飛ばして来た。そして、俺の手の辺りに糸が伸びてくると超高速で鋼の糸が俺の手に巻き付く。




「……しまった!?」



 まさか、ベイゴマの糸にこんな使い方があるだなんて!? 俺は、びっくりしてアタフタしていると男は、鋼の糸を持っているのとは逆の手に握っているベイゴマを俺にチラッと見せて来て言ってきた。





「……これで、どうよ?」




 男は、俺の事を糸で動けなくしているその隙にベイゴマを長い鋼の糸へ巻き付けていく。その間にも俺は、抵抗して逃げようとしたが……この鋼、とんでもなく硬い。


 なかなかこの糸を切断する事ができない。男が慌てる俺に言ってきた。




「……この糸は、俺の鎧から作った。この鎧は、特別製だ! 硬くなる魔法を何重にもかけているのさ!」



 そして、男はそう言い終わるや否やベイゴマを結ぶのをやめて一気に仕掛けてきた。





「……そしてくらえ! これが、ベイゴ魔法の妙技! ショット・ハリケーン!」



 宣言の後、男は俺の手に巻き付けてきた鋼の糸を一瞬にして解く。そして、解いてすぐに俺が逃げ出すよりも先にベイゴマを撃ち込んで来た。そのあまりにも強烈な打ち方に男の投げたベイゴマは一気に俺の下にまで飛んでくる。しかも、ただ地面を回転しながら飛んでくるあのベイゴマとは少し違う……。





 ――この男のベイゴマは……空中をまるで走っているように回転しながら迫って来る!








 俺は、そのあまりの衝撃に驚いた。しかし、ベイゴマは着々と俺の下に近づいて来る。そして、ついに鋼の塊たるベイゴマが俺の腹の辺りへぶつかって来た。腹をえぐるような強烈な一撃が俺に命中。とんでもない攻撃に俺は、つい声を上げてしまう。





「……グエッ!」



 正直、吐きそうになったその位にこの男の攻撃はえげつない。





 ――変な話かもしれねぇが……さっき受けたサマンサの隕石よりもエゲつない攻撃力してるぞこれ……!




 ベイゴマが俺の腹をえぐるような回転攻撃を繰り出してきて俺は、そのまま攻撃が協力であったが故に軽く吹っ飛ばされてしまった。地面に膝をついて肩で息をする俺。そんな中、飛ばしたベイゴマが空中で移動しながらまるでブーメランのように男の元に帰って行くのであった……。



 男は、言った。



「見たか! これが、俺のベイゴ魔法! 貴様の遊び道具の魔法とは格が違うのさ!」





 ――いや、一緒だわ……。




 俺は咳込みながらお腹を手で抑えて苦しそうに呼吸をしつつ口から血を少しだけ血を吐きだした。




 ――遊び道具という点では、俺もアイツも一緒だが……しかし攻撃力は本物……。なんて力だ。




 ベイゴマをキャッチした男は、再び糸を俺の手に向かって伸ばして来た。そして、鋼の糸が俺の手に巻き付くと俺は、その場で身動きが取れなくなる。





 ――やべぇ……。このままだと……。





 やられる。……そんな気がした。俺は、すぐに手に持ったけん玉を眺めてどうするかを考え出した。

 



 だが、男は待ってはくれない。すぐに俺の手に巻き付いた糸を解くとそのまますぐにベイゴマを投げてきた。





「……もう一発食らいな! ショットハリケーン!」



 強烈なベイゴマの一撃が再び俺の下に投げ込まれる。しかし今度の俺は、さっきのようにただ攻撃を受けるような球ではない。






「……させねぇ! 飛べェ! ボール・スラスト!」



 岩でできたけん玉を放り投げる俺。それに対して敵の男は、鋼のベイゴマ。2つがぶつかり合おうとしていた……。






 やがて、ベイゴマに俺のけん玉が当たった――。その瞬間、甲高い音が聞こえて来て俺のけん玉が逆に弾き返されてしまう!





「なっ、何ィ!?」



 そのあまりに衝撃的な姿に俺は、つい声を出してしまうが、すかさず男のベイゴマの回転パワーが俺の脇腹をえぐって来た。






「うぅぐぅ!」



 強烈な攻撃に俺は、耐えきれず……またしても衝撃に耐えきれなくなった俺は、吹っ飛ばされてしまう。



 地面に尻餅をついて、俺は今度も口から血を吐く。呼吸が苦しかった……。腹が本当に痛い。身体が悲鳴を上げているのが分かった。





 ――しかし、まさか……俺のけん玉を弾き返すとは。……サマンサの隕石とは違う恐ろしさがあるぞ……コイツのベイゴマは。






 俺は、ぜーはーと過呼吸になりながら男の事を見た。










 ――どうして、いきなり襲われてるのか謎でしょうがないが……しかし、敵として攻撃してきたのなら……やり返すのが礼儀ってもんだよな!




















 ――To be continued.






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