終創のニルヴァーナ

桜木 澪

序章


 二十年前――。


 世界の終焉(エンド・オブ・ザ・ワールド)により、世界は変わった。


 空から発生する七色の光――。

 それが終焉の始まりだった――。

 

 初めはその七色の光を、人々は神からの贈り物として崇めた。

 だが、七色の光は人々の期待を裏切ることになる。


 そして、七色の光は全世界を覆う様に降り注いだ。


 その光は隕石の様に太く巨大なものだった。

 一夜の絶望。誰が予想していたものか。


 大山が割れるこの光景を――。

 赤く染まったこの大海を――。

 劫火に燃えるこの家々を――。

 泣き叫び逃げ纏う人々を――。


 七色の光は丸二日、空から降り注いだ。

 この世界に天変地異と、何億の犠牲者を残して――。


 世界は一度、滅んだのだ――。


 七色の光が止む頃、その光は生き残った人々に力を与えた。


 身体に宿った光――。 

 その力を人々は後に『魔法』と呼んだ。


 やがて、滅んだ世界は十二人の魔導師により作り変えられる。


 人々は彼らを神と崇め、敬意を込めてこう呼ばれた。

 

 ――『終焉の創造者(ニルヴァーナ)』と。

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