異世界旅行

第349話 報せは国中に

ゴウがククリとミユキと関係を持ったという話は最高の朗報としてすぐに魔王国全土へと報せが走る。

「聞いたか、創造神様のご一族と剣神様のご一族、そして王女ククリ様が結ばれたそうだ。」

「これはめでたい話だ。」

国中が朗報に祝いの声を上げていた。

「ククリがやったか！

これはめでたい話だ。」

クーラもククリの行為に喜びが隠せない、それほどまでに魔王国に創造神と剣神の血筋というものは大きい上にゴウという規格外の存在と縁を結べた事は歴史に残すべき事柄なのである。

その前ではラニアン王国の存在など合って無いような物なのである。

「陛下、ゴウ様にすぐに合流するのは控えたほうがよろしいかと。」

「何故だ、このような目出度い話なのだ、すぐに会いに行くべきであろう、ククリも褒めてやりたいしな。」

「いえ、それは早計にございます。」

「なに？」

「今はまだ結ばれただけにございます、深い関係を作るためにも父親であるクーラ様は少し時間を置いて会われるべきかと。」

「しかし、当初よりラニアン王国の処遇について向かうはずではなかったか。」

「あの国など放置すればよろしい、陛下は国の職務で少し遅れているとすれば良いのです。

その間、ゴウ様とククリ様、そしてミユキ様は更に深い関係になられるかと、いやむしろお子をお作りになられるのも夢では無いかと。」

「・・・それは我等千年の悲願である。

良し、ゴウ様には遅れる事に対して謝罪の文をしたためる、適度なタイミングでお渡ししろ。」

「はっ、承知致しました。」

「ラニアン王国との交渉はのらりくらりと長引かせろ、交渉中は最低限の援助ぐらいはすると言えば向こうも強く出ることは無いだろう。」

「お任せあれ。」

せっかくゴウがククリを求めたのである、この際に二人の絆を強める為に魔族は全力を尽くすことになるのであった。

「交渉の条件の見直しですか？」

クロエの下に甘い話が飛び込んでくる。

「ええ、魔王陛下はラニアン王国の存続を考えてもよろしいとの事にございます。

ただそちらも譲歩出来る事、出来ない事がお有りでしょう、それを今一度煮詰め直そうという事にございます。」

「ありがとうございます！これで陛下もお喜びになります。」

「ただし、クロエ王女を帰し、再び戦の準備をされる訳にもいかないのです、暫しこちらに滞在なされ交渉の継続を願いたい。」

「わかりました、ただこちらも陛下のご意思を確認する必要もあります、使者を行き来させてもよろしいですか？」

「構いません、ただし武器の携行は許可しませんのでご了承ください。」

「わかりました、すぐに手配致します。」

思わぬ国の存続の可能性にクロエは喜びを隠せなかったのであった。