第8話 輝かしい勝利
果たして牢屋番のお役人が革袋のお財布を見せた所、野猿のようにガシッと鉄格子に張り付きゴウゴウ悪態をついた
これによりレダチームの言い分の無事証明になった
「ねぇマリウス? あなたそんな事したの?」
「うぅんまさか!!僕知らないよ?!」
隠し部屋・のぞき穴で様子を伺うレダのオロオロ心配そうな悲しげな可憐すぎる表情に、マリウスは
闇の中でもキラキラ美し金の巻き毛が光を弾き、長く美しい透き通る睫毛にジワリと涙が光った
誰が見ても聖堂の天使様そのものの麗しの美貌
「ねぇお役人様、レダ亭を数日前に壊しオーナーのおじい様に怪我をさせただけで無く、この子人さらいにもあいそうになったんです……
私、あの男達にあと少しで遊び女に堕とされそうになりましたし
いたいけなこの子自身、市場の近くにある娼館に売られそうにもなったんですよ?
あぁどんなに怖かったことでしょう、胸が潰れそうです」
そこでレダはポロッと真珠の涙を零し、目頭を儚げにハンカチで拭いスンと鼻を可愛らしく鳴らす
こう言う場合の女の子の涙は最強だ
レダは駄目押しとばかりに声を震わせる
代わる代わるのぞき穴から牢内を覗く官吏にハラハラ涙ながらに訴えた
「本当にーーーー
危機一髪だったんですっっ
この子が自力で逃げ出せたのは大天使様のご加護のお陰です」
「レダさんはご恩返しにと、おじい様のお薬代を稼ぐ為に臨時仕事を頑張っているさなかの出来事だった
高窓より下界全てを見ていた、重要な目撃者だったという訳ですね?」
「ええそうです、必死で逃げている様子を見ていました」
確かに嘘を言ってはいない
隠し事が少々あるだけだ
レダは上手に自分がマリウスに行った救出劇を丸々省いていた
〜それはあくまで名も知らぬ顔を隠したどこぞのヒーローが行った事で、自分には一切関係の無い出来事なのだ
「しっかしその英雄、是非ウチの警護陣に加えたいものです」
「済みません、私三階の窓を開けた後、降りた二階でお掃除していたので、そこまでは……
上の階層での出来事は〜
お役に立てず申し訳ございません」
「!!ッッ、しょうが無いですよそれは」
「問題ないでしょう」
厳めしい男達はウンウンと頷いた
「しかしまぁ、アイツら聞けば聞くほど悪党というか〜
我らのレダさんに何という下銭で酷い事を!」
「碌でなしもここに極まりですね」
「その分でしたら、あのすられたという申告もどうですかねぇ
明らかに都合の良い言い訳か、彼等の勘違いでしょうね」
「自分勝手な思い込みでしょう」
「全く、どこまでもふてえ奴らです!」
「どちらにせよ、その程度の銀貨程度ではレダ亭の補填が出来るとは思えませんので街の金融業、ギルドの長にこちらからも働きかけましょう」
「有難うございます
このご恩を決して忘れません……」
レダはしおらしく、この願ってもない有り難い申し出を受けた
全ては素晴らしい落としどころを迎えたのだ
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