ラストイベントには人狼を

リゲル

0ーA、〈職員室にて〉経緯

「ねぇねぇ、これ、見てくださいよ!」

「ったくもう、今度はなんですか?木村先生。」

「これ!見てくださいよ!」

「なになに…『協力VRゲーム テストプレイヤー募集』?」

「そうなんです!某人気ゲーム会社がこんなのやってて!

 んでまぁ、シューティングとか、格闘とか、色々あったんですけど…

 試しにうちの学校の名目でエントリーしたら、通っちゃったんです!」


「えー…

 校長先生に許可とったんですか?」

「ご安心ください!

 この前の忘年会の時言ったら許してもらえましたよ!」

「校長先生、あん時泥酔いだったし許可に入らないと思うんですけど…

 (あ、耳打ちしてたのそういうことだったのか)」

「ほら、最近コロナ禍で修学旅行とか色々行けてないじゃないですか」

「はぁ…」

「しかも、ここ廃統合されるって言いますし」

「噂だし」

「…とにかく!

 生徒たちの思い出に!って思って!

 今度の土曜授業の日に向こうの会社の人たちに来てもらうことに

 したので!よろしく頼みます!雑務とか!」

「え」

「あー…、

 対象年齢が10歳以上って書いてあったんで、

 低学年の子達にはその日はお休みです。」

「はぁ…。」


ここは、大都市のはずれの小さな小学校。

周辺の村では少子化が激しく、生徒は約50人ほど。

そのため、低学年と高学年に分けて授業を行なっている。

低学年の担任は、上村先生(よく木村に振り回されている)。

高学年の担任は、木村先生(ゲームに応募した、今回の主犯)。

(生徒からは「村村コンビ」として親しまれているようだ)

そのほかには数人しか先生はいないが、

おかげで幸か不幸か、生徒には先生の目がよく行き届いており、

みんなで仲良く過ごしている。


そんな学校が、こんな殺伐としたゲームの舞台になるとは…

この世の中、何があるかわからないものである。



「そういえば、ゲームに色々種類があるって言いましたけど、

 なんのゲームに当選したんですか?」

「『人狼』です!

 まあよくわからないのですが、きっと面白いですよね!」

「卒業記念に人狼って…」


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