第24話 戻ってこない理由は ※フェリベール王子視点
「なぜだ!」
レティシアは王都に戻ってこなかった。しばらく我慢して待っているのに、彼女は辺境に行ったまま。このまま、戻っこないつもりなのか。いや、そんな事ありえないだろう。だけど、長い期間ずっと向こうに居たまま。それで戻ってくる気配がない。これは、どういうことだ。
レティシアが戻ってこない理由が分からない。いつまで待てば、彼女が戻ってくるのか分からないのは、色々とマズイ。
黙ってレティシアとの婚約を破棄して、周りから色々と言われた。なんて言われたのか、もう忘れてしまったけれど。とにかく、責められた。あれは面倒だった。
そんなつもりじゃなかった。こんな事になるなんて、予想していなかった。すぐに俺とレティシアの婚約関係を元通りにすれば、何の問題もないはずだった。それで、思った通りになるはずだった。なのに。予想外なことばかり。
そして今は、次の婚約相手を決めろと急かされている。勝手に候補を用意されて、その中から選べと。別の婚約相手を決めるなんて嫌だ。
俺は、レティシアと一緒になる予定だから。彼女に、スタンレイ辺境伯との婚約を勧めたのも冗談だった。もちろん本気じゃない。
早くしないと、勝手に婚約相手を決められてしまう。そうなったら、レティシアと俺は一緒になれない。早く元通りにしないといけない。それなのに彼女は、辺境から帰ってこない。これも予想外。だから、焦っていた。どうにかしないと。
待っていただけじゃ、本当に別の婚約者を用意されてしまうだろう。
そこで俺は、パーティーの招待状を送ることにした。これで、彼女が王都に戻ってくるはず。ちゃんと話をしよう。このまま待っていたら、新しい婚約相手が決まってしまう。仕方ない。彼女の方から謝ってくるのを待っていたけど、予定を変更する。
スタンレイ辺境伯は、醜男で有名だった。そんな男と婚約するなんてレティシアは嫌に決まっている。
そうか。そういうことか!
婚約出来ることになったスタンレイ辺境伯が、レティシアを手放そうとしなかったのかもしれない。だから彼女は、王都に戻ってこれなかったのか。
そうだとしたら、レティシアを絶対に取り戻さないといけない。彼女は、俺の婚約相手なんだから。とにかく、パーティーに招いて話さないといけないだろう。
スタンレイ辺境伯を呼び出して、レティシアを解放させる。それから、婚約関係を元通りにする。彼女と俺は、夫婦になるんだ。そうに決まっている。
手紙を送り、パーティーの準備をさせる。名目は適当に、ついでに参加者も集めて盛大に行おうかな。これで今度こそ、予定通りに事が運ぶはずだ。そう思って、俺は期待していた。
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