第24話 母は強し
う…ここは…
目を覚ますと、金城さんの顔が目の前にあった。
ビックリして急いで起き上がると、彼女は眠っている。どうやら俺が倒れた後、膝枕をしてくれていたみたいだ。
まだボス部屋の中か…そこまで時間は経ってないみたいだな。いつまでもここにいたら魔獣に襲われてしまう。せっかくだから2階層を見てみたかったけどこの状態じゃあなぁ。
はぁ、また明日こいつを倒さないといけないのか…
ボスと呼ばれる魔獣は一度倒しても、数時間経てばいつに間にか同じ場所に出現している。なので次の層に行くには同じ日の方が効率が良いのだがこの状態では日を改めるしかないだろう。
金城さんを背負い、ボス部屋を後にする。
結局、ギルドに戻るまでの間彼女が目覚める事はなかった。
「お!やっと起きた。」
地上に戻り、金城を放置するわけにもいかないので【バッカスの遣い】で食事をしながら彼女が起きるのを持つ事数時間。ようやく彼女が目を覚ました。
時刻は20時。
日はとっくの昔に落ち、外は真っ暗だ。
目を覚ました彼女は少しの間ボーッとしていたが、状況を把握したのか徐々に顔が赤く染まり両手で顔を隠してしまった。
「ど…どうして私は…その…草介さんに膝枕されてるんですか?」
「ああ、この店横になれる様な場所無くってさ。居間貸して欲しいって頼んだんだけど商売の邪魔だって断られちゃって…器の小さい店主だよね〜」
大して客もいなかった癖に断られた腹いせに、店主に聞こえるよう少し大きな声で話す。
「うるせえ。前から言ってるが気に入らねえなら来るんじゃねえよ。」
「そんな事ばっかり言うから美月ちゃんに嫌われるんだよ。ね〜美月ちゃん。」
近くを通った美月ちゃんに話しかけるも、こちらを横目でチラリと見るだけでそのまま立ち去られてしまった。
「あれ?なんか怒ってる…?」
「ざまあねえな。お前もとうとう嫌われたんだよ。ハハハ、いい気分だ。一杯奢ってやろうか。」
俺が美月ちゃんに相手にされなかったのが余程嬉しいのか、珍しく上機嫌になり俺の前で酒を呑み始める。
「あんたは仕事しな。ほら、サッサと行くよ。」
仕事をサボっているのが茜さんにばれ、怒られている。ざまあみろ。
「それにしても…俺、美月ちゃんに何かしたかなぁ?」
心当たりが全くない。なんで怒ってるんだろ。
「草介君は今すぐ美月のところに行きなさい。その子は私が預かるから。こんな時間だしお風呂にも入りたいでしょう。私が案内してあげるからね。」
茜さんが金城さんを店の奥に連れて行ってしまい、俺は一人残される。
「…どうしよ?」
美月ちゃんに謝る?にしても彼女はまだ仕事中だ。流石に邪魔する訳にはいかない。そう思っているとまたもや店主が俺の前にやってくる。
「…なにも頼んでないけど。」
「………美月は休憩室に行った。客足も落ち着いて来たし30分は戻らなくていい。勘違いすんなよ。あいつが元気ねえって他の客が心配してんだ。早くどうにかして来い。」
そういうとすぐに仕事へと戻って行く。
客足も落ち着いてるねぇ…
どう見ても満席の店内を見渡す。
全く…素直じゃないなぁ。
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