第14話 強面店主は大体いい人

 ここが長曽根武具店か。


 俺は隆二に勧められた武具店へとやって来た。てっきりダンジョン付近にあるものだと思っていたがスマホで探すと結構離れたところにあり歩いて10分くらいかかった。


 見た目は和風な感じで一昔前の鍛治職人がいそうな雰囲気がある。


「すみません。装備を新調したくて来たんですけど。」


 扉を開け店内に入るとそこにはスキンヘッドで強面の男性がカウンターに座っていた。


「いらっしゃい。」


 鋭い眼光でこちらを睨む男性。


 怖え〜、でもこの人が店主なんだよな。

 取り敢えず装備を買うだけだし、一通り店内見てみるか。サッサと買って帰ろう。


 俺は店主に一礼し店内に装備を見て回る。


【ホーンラビットの鎧】

 16,000円  耐久力+2


【ホーンダガー】

 12,000円  攻撃力+1


 まあ安いのだとこのくらいだよなぁ。

 前も使ってたのもホーンラビット装備だったしこれでいっか。


 適当にいつも通りの安い装備を選び、カウンターに向かう。

 ふと横にあった武器が目に入るよ。


【吸血の剣】 ※スキル付与武器

 150,000円 攻撃力+18 

 付与スキル【吸血】

【吸血】…血を剣に吸わせる事で切れ味が上がったり、所有者の魔力を増幅出来る。


 スキル付与武器か。中級探索者からはこういう武器や防具を沢山買ってるんだろうなぁ。

 消耗品に数十万単位を払えるなんて…今の俺じゃ考えられないな。貧乏人は大人しく、身の丈にあった装備で頑張るしかないな。



「これ下さい。」


 装備をカウンターにいる店主の前に持っていく。店主は俺の方を軽く睨むように見て来た。


「あんた、初心者には見えねえがこんな装備でいいのかい?」


「ええ。恥ずかしながら、6年もやって未だに1階層止まりなんで金がないんです。それに1階層はこの装備で十分ですよ。」


 自慢じゃないが俺は物持ちがいい方だ。何故なら貧乏だから。余計な出費はしたくない。


「1階層に6年……お前、隆二の野郎が言ってた草介か!」


 突如、店主がカウンターから立ち上がり大声をあげる。


「そうですけど…」


「なんだよ。だったら先に言えよ。俺は長曽根虎徹ながそねこてつ。隆二とは昔からの仲でお前の話も聞いている。なんでも女助ける為に命張ったらしいじゃねえか!そういう奴、俺は大好きだぜ!」


 なんか言い方が少し気になるし勘違いされてる気もするが、訂正するのも面倒なのでこのままで良いや。


「俺がお前にぴったりの装備を選んでやる!ついてこい!!」


 虎徹は店の前に看板を置き、誰も店内に入れないようにすると店の奥へと入って行った。


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