第2話 採取クエストで小銭稼ぎ

 時刻は午前7時頃。

 自宅から原付で約10分程の場所にダンジョンがある。ダンジョン付近の建物は魔獣が出て来た時、真っ先に被害に遭う為家賃が安くなっているのだ。


「ダンジョンに入る前に準備しないと。」


 ダンジョン付近には装備品や回復薬などを売っている特別な施設が存在している。

 それらの施設は24時間体制で営業しており、探索者をサポートしてくれるのだ。

 俺はその中の【ギルド総合施設】に入る。


「いらっしゃいませ…って、なんだ草介かよ。こんな朝っぱらから来やがって。」


隆二りゅうじ…仮にも客だぞ。もっと丁寧に接客したらどうなんだ。」


 カウンターに座る金色の短髪がトレードマークのこの男は山本隆二やまもとりゅうじ

 過去は凄腕(自称)の探索者だったらしいが、怪我で引退しギルド職員に転職したらしい。

 態度が悪く女性に見送られたい探索者からは不人気であり、俺しか寄り付かない。


「俺とお前の仲じゃねえか。で、一体なんのようだ?」


「今からダンジョンに潜ろうと思って…何か【クエスト】出てないか?」


【クエスト】とは、ギルドと呼ばれる探索者支援団体が出す素材集めや魔獣討伐を行う対価として追加報酬を得られるシステムである。個人でも依頼できるそうだが金額がちょっと高いので金持ち以外は利用しない。


「う〜ん。お前が出来そうなのはこれくらいかなぁ。」


 隆二から渡された紙を見る。



 薬草採取

 報酬:10,000円

 内容:ポーション用の素材を集めて下さい。

 薬草×50 毒消し草×20




「また薬草集めかよ。時間かかる割には報酬少ないから嫌なんだけなぁ。」


「お前が討伐クエストなんて受けたら死ぬ可能性の方が高えよ。1階層のスライムは大した素材になんねえし、新人に回す決まりだからな。6年目のお前にはやらせらんねえよ。」


 流石は探索者支援団体というだけの事はあり、新人に対するサポート体制はしっかりしている。


「まあ、命が最優先だ。どんなに稼いでも死んじまったらどうしようもねえ。地道に頑張ってりゃいい事あるさ。」


「お前に励まされるなんてな。これ受けるよ。金ないし。」


 俺は依頼書を受け取り印鑑を押す。これでクエストの受領が完了だ。


「行ってくる。」


「おう、頑張れよ。」


 ギルド総合施設を出てダンジョンの入り口へと歩いて行った。


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