椿説・伏姫さんと玉梓さん
司之々
1.私は八房の妻になります
腹が痛い。それも急激に、
「生肉は……夏場、
その美しい
西暦で言えば一四五八年、和暦で言えば
「お願い、
さすがの愛犬も、少し嫌そうな顔をしたが、それも無視した。なにせ、人生最大のピンチなのだ。
一人と一匹、この山奥に暮らして、もうじき一年が過ぎる。当初は
「
人間さまの
武士の娘として帯にたばさんでいた
モツを抜いて、皮を
野生味あふれる、ではなく、
「いけるわ、
実際、秋と冬は大丈夫だった。春も問題なければ、油断する。
そうして
いや、遠因をたどれば、自業自得はいささか
一年前まで、人生最大のピンチは、まさに
「おまえ、敵の総大将を
娘が娘なら、親も親で油断する。相手が油断するかも、などと、
その夜、
一番の大手柄は、もちろん
苦しい
だが
「
賢い
空前絶後の
目の奥に、ほんのわずか、この世の
「父上、私は
「ちょっと待って、
「そもそも、父上の
「いや、でも、娘を犬の嫁に、というのは、いくらなんでも……」
「
「ぅおわっ! やめてやめて! わかった! わかったから!」
こうして
花嫁衣装の
目の前に清涼な川が流れる、
合戦やら礼儀作法やら、お習字やらお琴やら、世俗の面倒事から解放されて、
「いけません、
一応、言う。そして帯にたばさんだ
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