中央フリーウェイ(仮)

響野文街

セルリアンブルー

あの青はセルリアンブルーで合っているだろうか、それとももっと相応しい名前があるのだろうか。何度も見てるはずだがその名も知らない青の美しさに、R.Bは思いを馳せる。天辺のその薄い青から地上付近の琥珀色に届くまでの美しいグラデーションをバックに空気の粒が金色に輝いている。理由はなくとも切なくなる黄昏の空だ。ふた世代若ければ躊躇なくエモいと口にする光景だろうが、R.Bにはその躊躇いがあった。


黄昏は当て字。たそがれはそもそも「誰そ彼」と書いていたらしい。「あなたは誰?」が語源だ。暗くて相手の顔が判別できない時間が黄昏なのだ。

ならば、と別の思考が後を追う。しばしば虚を衝いて到来するこの思考こそ、黄昏時に相応しいのかもしれない。


そもそもR.Bとは誰だろうか。

答えは分かっているにも拘らず。

果たしてR.Bとは僕なのだろうか。

いや、間違いなく僕なのだけれども。

夕闇の中、イルミネーションが点灯する直前に覗き込んだ恋人の顔は、記憶の中ではいつも朧げだ。彼女とは今でも毎日顔を合わせているのに。

僕とR.Bもきっとそんな関係なのだろう。いや、R.Bと僕の関係と言うべきだろうか。

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