掘り返す記憶はならない身のため

とても痛かった


熱かった


自分でもよくわかっていた


眼が焼けていると言うこと


でも僕は水中では目が開かない


昔父親に風呂場に20分近く頭を突っ込まれ


失神したことがあった


思い出したくもない


ただそのせいか僕の肺活量は


ものすごく長いものだ


軽く7分はあるだろう


現実的ではないだろうけれど


まぁそのせいで1人で湯船に浸かることさえ


恐るようになってしまったが


でも今ここで目を開けなかったら


ずっと目は焼けたまんまだ


だからと言って過去のトラウマを


自分で掘り返すのも身のためではない


でも




意地でもここで目を開かなかったら


僕はきっと死ぬだろう


死ぬのは別に構わない


でもそしたら僕は何のために


あの場所から逃げてきたのだろう?


何のために?


それこそ僕の身のためではない


ならばここで現実に目を向けるしかない


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