第5話
翌日の土曜日に、午前中から部室へ足を運んだ。
昨日ああでもないこうでもないとしきりに言い合っていた女性陣二人は下校に至るまでそうしていたし、事態が結局は一体何だったのか、まるで夢や幻のように思えてならない中久保カツミはあれ以上本を読み進めることもできず、帰宅しても自分で納得できるような状況説明が浮かぶわけもなく、しかも時間がたてばたつほど夢や幻はヴァーチャル・リアリティかAI技術か何かのように一層おぼつかなくなる一方で彼女らに告げられた言葉だけは妙に鮮明に思い出すことができていた。
家では読み進めることは望み薄く、部室に行けば再度彼女らが何かしらの情報を提供してくれるのではないかと、登校してみたのである。
部室の戸を開けて、待っていたのは川波聖羅でも静間秀子でもなかった。ましてや、彼女らが扮した清少納言でも紫式部でもなければ、ご本人方々のご登場でもなかった。
そこにはただただじいっと座っている方がいた。方? うん。一応、人、らしい、種族的にはそういう分類にしてもいいのだろう。ただ、格好がまるで違っていた。コスプレと言えばそう見えなくもない。なにせ、かの方は蜂のデザインのコスチュームを纏ったような姿をしていたからである。頭部も人がペイントしているのでも、お面でもなく、立体的に蜂の頭部が人のサイズにでっかくなったものである。
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