溺愛生活断固反対!!〜お兄ちゃんs'に愛され過ぎて困ってます〜

たや

1限目:⁠入学式に、お兄ちゃんがいっぱい!?

 私の名前は、王番地おうばんちひかる。学力も運動も外見も、ごくごく平凡な女の子。


 今日から新たな中学一年生。新しく始まる中学校生活。


 新しい制服を着て、恋も、部活も、勉強も。キラキラした学校を送りたい!



 ……そんなはずだったのに!?




 桜の花びらが校庭脇でひらひらと舞い落ちる、暖かな午後のひととき。ここ、私立 篠花ささばな学園は新入生230名を迎え、晴れやかに入学式を執り行っていた。在校生や新入生の保護者も含めると、体育館は後方まで大多数の参加者で埋め尽くされていた。今年の新一年生は、全部で六クラス。私のクラスは一年三組のため、座席の位置はちょうど真ん中に設定されている。そのため、周りは他の生徒で囲まれており、全体の様子をよく見ることができなかった。でも、多分、私の家の人は来ていない。保護者は『各家庭二名まで』と決められていたが、会場の雰囲気的に参加していないと感じられた。


 ――忙しいって言ってたから、しょうがないか。


 本音を言えば、半分がっかり。でも、半分は諸事情でホッとしている。


 には来てほしいけど、には来てほしくない。


 そんな相反する思いを頭の中で反芻させていると、いつの間にか長い祝辞も終わり、式は終盤に差しかかっていた。教頭先生だろうか、細身の年配の男性がステージ下のマイクに近づき、終わりの言葉とともに事務連絡を伝え始めていた。

「――というわけでありまして、在校生、保護者の皆様には昨年度、大変ご心配をおかけしました。しかし、今年度は非常に優秀な教員、特別免許状を授与された教員ではありますが、多くの人員を採用することができました。そのため、昨年度のように年度途中で教員が不足することはなく、生徒一人ひとりに寄り添った教育を学園全体で行っていくことをお約束します。それでは、本年度の教職員を紹介します」

 教頭先生の合図とともに、ステージに向かって右側の職員席に座っていた先生方が一斉に立ち上がる。ニ列に並んで着座していたため入学式の最中はそれぞれの姿をよく見ることができなかったが、職員紹介の時はステージに上がって自己紹介をするらしかった。


 ――中学校は、どんな先生がいるんだろう?


 多くの生徒が、期待と不安の気持ちで一杯になっていた。が、急に会場全体から大きなどよめきと歓声が沸き起こった。


「〜〜っ!? きゃあー! めっちゃカッコイイっ!」

「あんなイケメンが先生!? マジで!?」

「まあ、まあ、まあっ! 何で美しい方々なのでしょう! しかも、こんなに大勢で!」

「えっ!? あの人見たことあるわっ! 有名人じゃない!?」


 それまで厳かな雰囲気だった体育館が、一気に熱を帯びていく。ステージ上には、いわゆる『先生』といった一般的な印象とはかなり異質の、背が高く眉目秀麗の男性教員が九名、会場の的となっており、篠花学園史上過去に類を見ないほど興奮状態の教職員発表となっていた。



 ……ただ、一人を除いては。




「うっ、嘘でしょ……? 何で、何で!? 何で、お兄ちゃんたちが学校の先生なのぉーーーーーーー!?」

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