10-4

某商店街


丼「あ~、いい匂いがしてきたでありんす」


急に早足になり、S.A.達に追いつく丼。


雀「さっすがやな~。食い物(くいもん)の匂いがするとすぐこれだ」


丼「何か食べたいでありんす」


雀「ホンマ、現金なやっちゃな~」


S.A.「こいつの頭には食べ物のことしかないのか?」と呟く。


丼「どれにしようでありんすかな~」


S.A.「よだれが出てるわよ」


雀「いろいろあるで。どれにする?」


S.A.「だから、よだれが……」


こおろぎが、サッとハンカチ?(風呂敷くらい大きい布?)で丼の口を拭いた。


こおろぎ「S.A.さんが丼のよだれを気にしてますよ」


丼「あっ、ゴメンでありんす。ジュルジュル…(思わずよだれをすする)」


灰かぶり「私がついていながら、すいません。…でも丼の口まで私、手が届かなくて……」


S.A.「いいのよ。シンデレラちゃんが悪いわけじゃないんだから。このデブ猫が悪いんだから……」


雀「これなんかどうや?…このお好み焼きは、丼サイズやろ。たこ焼きも美味いんやけど、こうチマチマしたもん、お前の口じゃ小さすぎて味わからんやろ…」


R「…でRな」


丼「ム~ッ(とむくれる)」


雀「おっちゃん、コレイクラ?」


蛸おやじ「イクラちゃうわ。お好み焼きや!」


雀「ひゃ~、一本取られたな(って)…」


S.A.「(オイオイ…)」と心の中で突っ込んだ。


蛸おやじ「いくつ、要る?」


雀「え~っと、6人分やから…」


丼「10枚!でありんす」


S.A.「10枚?!」


蛸おやじ「10枚やな…ホイッ」(っと雀に投げてよこした)


雀「おー…っと」(と言いながら何とか落とさず受け取った)


こおろぎ「ヒヤヒヤしました」


S.A.「もっと静かに渡してよ」


丼「ところで、お金はどうするでありんす?」


S.A.「そ、そうよ…。私、持ってないわよ」


雀「それくらいオゴるがな。わいの地元に来たときくらい。……おっちゃん、いくら?」


蛸おやじ「5000万円」


雀「安いな」


蛸おやじ「だろ」


S.A.「えっ?」


こおろぎ「5000万円は高いのでは…?」


雀「ほな」と言って5000円札を出す。


S.A.「な~んだ、5000円か。…それでも高いんじゃ…」


こおろぎ「10枚ですからね。それにあの大きさですし…」


丼「早く食べたいでありんす」(と言うが早いか1枚目をすでに食べている。)


S.A.「もう食っとるんかい、アンタは…(と呆れ顔で言った)」


灰かぶり「美味しい?」


丼「はい、でありんす」


S.A.「はいはい、ごちそうさま…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る