6-3

雀「あぁ、しかし、このドアについては、アイツの方がよう知っとるで!」と言って後ろに目をやる。


S.A.が、視線を後ろに向けると息を切らして走って来る丼の姿が見える。


丼「はぁー、はぁー…ひどいでありんすよ。あちき一人を置いていくなんて…」


雀「丼!こいつのこと説明してやりぃ」


丼「何の事でありんすか?」


S.A.「このドアのことよ!」


丼「ドア……でありんすか?」


ようやく目の前のドアの存在に気付く丼。


丼「こ、これってもしかして……」


雀「そや。アレや!」


S.A.「だから、何よ?……」


丼「ネ、ネコドアでありんす!」


S.A.「ネコドア!?…だから、それって何よ。ちゃんと説明してよ」


丼「これは通称ネコドア。正式には『いつでもどこでも猫の国とつながっているドア』でありんす」


S.A.「で、それがどうしてここにあるのよ」


丼「それは、それは……」


目が、涙でうるむ丼。


雀「もぅ、俺から言うたるわ!このドアがここに現れたっちゅう事は……」


S.A.「ことは……」


雀「あいつが来たっちゅう事やろ。たぶん……」


S.A.「あいつって……?」


丼「シンデレラが来たでありんす!」と泣きながら言った。


S.A.「シンデレラ?シンデレラって……童話の……じゃないわよね。もしかしてこの前言ってた、まだ来てないあんた達の仲間の……」


雀「そや」


丼「そうでありんす」


ドアが静かにこちら側に開き出す。中は光っていてよく見えない。やがて、黒い影が二つ見えてくる。一人?は中肉中背。もう一人?はすごく小さい。


R「お久し振りでR(あーる)。シンデレラが会いたがっていたので、連れて来たのでR」


雀「何や、お前も一緒かいな!」


灰かぶり「お久し振りです。雀さん。そして……丼~」と言いながら、涙を流して丼に抱きつく。


丼も灰かぶりを抱き締める。


灰かぶり「丼、会いたかった」


丼「あちきもでありんす。」


丼、灰かぶりは号泣している。


それを温かく見守る雀。


一人、訳が分からず口をポカーンと開けているS.A.。


S.A.「一体、何なのぉ~!?」と心の中で叫ぶ。


第7話に続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る