ハーフ&ハーフ3のための、取り立て屋物語
久里 琳
第1話① 幼少にして大黒柱の男の子 前編
📞📞お題パート📞📞 ……語り口調をすこし改変しています。
「われわれの仕事を簡単に説明しますと……」
天使の笑みを浮かべて上役はこう告げた。
「……貸したものは利子つけてちゃんと返してもらえ、に尽きます」
それから目の奥に悪魔の炎をちらつかせて続けた。
「だから、返してもらうまではくれぐれも手ぶらで戻ってこないように」
そう。貸したものを返してもらう。
わたしの仕事を簡単に説明するならそういうことだ。
実にシンプルな商売。
素直に返してくれる相手ばかりなら、こんな楽な仕事はないだろう。
だがもちろんそんな相手ばかりではない。
それどころか海千山千の猛者――いや、顧客か――だらけなのだ。
(今日び胃薬なしじゃ、クソもままならねえ……)
ガリッと錠剤をかみ砕いて飲み込み、青空をにらみつける。
今日の
しかも幼い弟妹を抱え、親の面倒まで見ているしっかり者。
確かにいい子だ。が……それだけに厄介な相手だ。
かくしてわたしは憂鬱をずるずると引きずりながら、今日も「顧客」のもとに足を運ぶ。
(その②へつづく)
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