第三章 第一中央病院

この国の名前の由来は、5つの地区が人の手のような形に並んでいるからだが、その5つの地区の交差する方(人の手でいうと手のひらにあたる辺り)の、砂漠のど真ん中にその病院は建っていた。


第一中央病院、この病院は、名前にこそ付いていないが、EW商事のグループ企業であり、黒い噂が絶えなかった。


病院内には、外来時間の朝9時から夜9時までの間しか入れない。

それ以外の時間は、重症患者の付き添い以外は、グループ関係者しか入ることが許されていないのだ。


しかも、外来時間でさえ、一般病棟(A棟)と棟続きの(とは言うものの、直接A棟から入る事は不可能な)通称B棟に入るには、警備の恐ろしく厳しい裏門からしか行くことができず、通行証がなければ入ることができなかった。


俺は、今までだったら店でピアノを弾いている時間に、この1週間ほど毎晩この病院に来て、裏門の様子を窺った。


なぜかっていうと、この病院に秘密があるとすれば、やはりB棟にあるに違いなかったからだ。


この1週間で、裏門の警備員の交替する時間と巡回する時間について、おおよそ次のようなことがわかった。



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