指のない国

三十冊 綴

プロローグ


この国は、10年前の世界大戦によって、すでに心が荒廃した人間がかなり多かったが、いつからこんなに壊れてしまったのだろう。


時は西暦2045年、グランドハンド王国(といっても、今の国王は、政治的な力を失っていて、実態は、ある企業に乗っ取られているに近い状態だ)の第4地区、それが今俺のいる場所だ。


ここは、他の4地区と比べて、比較的、芸術に関心の高い者が多く住んでいる。

都市化は第1地区が最も進んでいて、第5地区が遅れている。


ここは、例えて言うなら開拓時代のアメリカ、映画の西部劇に出てくるような感じの街だ。


しかし、それは、あくまでも街の外観の話だ。


電気は、各家庭まできてるし、テレビもある。


舗装された道はないが、車も走っている。


第1地区は金持ちが多く、2、3、4と数が大きくなるほど貧しく、第5地区が最も貧しい者が住んでいる。


第1地区と第5地区は、不満を持つ者が多く争いが絶えない。


しかし、この地区を含めた真ん中の3つの地区は比較的争いか少なく、第4地区はそのうえ、のどかなので、そこら辺も気に入っていた。



あいつらが来るまでは……。




第一章に続く…。


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