異世界に転生した?帰る伝手は無い?なら、美味しい物堪能しよう! ~超ポジティブな食べ物大好き女子中学生が転生した話~

猫原未瑚

第1話 プロローグ

安威川儷子は美味しいものが大好きだ。

ステーキや餃子などの王道ものも、サラダやみそ汁などの副菜系も、

とにかくおいしいものが好きなのだ。ちなみに作るのも大好き)

だからといって太っているわけでも、醜いわけでもない。

というより、むしろ美人な方だ。

だが告白されたのは5回、断ったのも5回。なぜなら全員面食いの肉食系男子だったからだ。

決して自身は活発なわけではないし、割と草食に近い方だ。

ただただポジティブなのだ。

スポーツをするのは好きではないが、野球を見るのは好きで、

好きな球団は西武ライオンズだ。

「んー、今日は何作ろう。」

儷子の家は5階建ての中規模マンションで両親との3人暮らしだ。

父だけが働いているが、今日は母が友人と会いに行っているので私が夕ご飯担当だ。

「唐揚げか…ぶりの照り焼きでもいいけど…。あ、でもぶりは家になかったかも。

唐揚げにしよう。」

儷子は唐揚げとホッケの干物、キュウリが好きだ。

「キュウリもあったよね?塩もみにしよう」

…え?…

目の前が突然真っ白になった。

……………………………………………………………………………………

気が付くと、真っ白い綿に覆われたような世界が見えた。

『貴女は心臓発作でお亡くなりになられました。

よって、今から異世界に転移します。戻る伝手はありません。1000分の1の確率で記憶が抜けないことがありますが、ご了承ください。』

突然の機械音。

…え?いやいや、ご了承できないことしかないんですが…

「わ⁉」

またもや目の前が真っ白になった。

……………………………………………………………………………………

「オギャァ、オギャア!」

「リャレーザ、皆、生まれたわよ!女の子。」

「まぁ…!」

「良かったわ…」

「あたしの妹だ!母さん、どんな名前にするの?」

…私、本気で異世界転生しちゃった!しかも記憶残ってる!ある意味ラッキーかも…

「…どうしようかしら?リュレーナ、いくつか父さんと候補を考えてくれない?」

「うん、分かった!父さん、名前の候補決めてだって!」

「おぉ、分かった。どんな名前が良いかな?」

「うーん、母さんやあたしと似た名前が良いな~」

「それじゃあ、リュトーシャ、リャリーナ、リャレーゼとかはどうだ?」

「良いかも。あたしはリュリーネ、リャザーナ、リュナーザとかが良いと思う。」

「父さんはその中だったらリュナーザかリュリーネが良いと思う。」

「じゃあ、その二択で母さんに聞いてみよう!」

「あぁ。」

「…母さん!リュナーザがリュリーネ、どっちがいいと思う?」

「リュナーザ、リュリーネ…どちらもいいけれど、母さんはリュリーネの方が良いと思うな。赤ちゃんにも聞いてみたら?」

その会話が終わると、恐らく7歳位であろう姉のリュレーナがこちらに来た。

「ねえ、どっちの名前が良いと思う?いいと思った方に反応してね!

リュナーザ…反応しないな…リュリーネ…あ、手ぇあげた!母さん、赤ちゃんもリュリーネのほうがいいって!」

「そう。それならリュリーネにしましょう。

皆、名前はリュリーネで決定したわ!」

「そうなの!いい名前ね。おめでとう、リュリーネちゃん。」

「リャレーザたちに似ている名前ね。良いじゃない。

誕生おめでとう、リュリーネ!」

近所の人達が口々に祝福してくれる。

ありがとうという気持ちを込めて、小さく手を振る。

「まあ、手を振ってくれたわ。とても賢いわね。」

「本当だわ。頭のいい子に育ちそうだわね…」

…まだよくわからないけど、親切そうな世界でよかった…

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