起業家の天国と地獄

現役起業家

第1話 地獄のはじまり

「よし、君に1000万円を預けるよ。」


冷房がきいた部屋の中で、じっとりと汗をかいた手を握りしめた。


「ありがとうございます。必ず成功してみせます。」


・・・・・・


私は九州から上京してきたばかりの、大学1年生。

親は公務員。高校生まで、世の中の職業は公務員か医者しかないと思っていた。

平凡な毎日にうんざりしていた当時、某女優との沖縄デートをスクープされるIT起業を知る。


男なんて選びたい放題の美人女優が、なぜ「IT起業家」に?

そんなに起業家ってすごいの?

私も華やかな世界に住みたい。

自分の生きる世界を変えたい。


そんな軽い気持ちだった。最初は。


・・・・・・


成績は悪くなかったので、某有名私立大学の経済学部に入る。

地元の医学部に進学するとばかり考えていた親は、私のことが理解できずに、泣いていた。私は何も言えず、黙って、自分の部屋に戻る。


「お金を稼ぎたいなら、お金に印刷されている人が作った大学に入るべきでしょ。」


そんなこと、さすがに親にでも言えないよ。


・・・・・・


大学に入学して、私はすぐに起業家サークルに入った。

そして、サークルのコンパで隣になった、サークルのOBで、今はエンジェル投資家をしているという山口さんから、1000万円を創業資金として出資してもらうことになる。


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