第4話 初めての街と、最弱勇者

 目が覚めるとすでに馬車が止まっており……この馬車の屋根って青かったっけ? てか……こんなに狭くなかったような……


 体を少し動かすと何かに手がぶつかる。

「…………聖剣!? なんで?」


 まぁ、まずは深呼吸……吸って、吐いて、吸って、吐い……。


「ママ、あのお兄ちゃん何やってるのぉ?」

「ヨシくん、見ちゃだめよ!」


 ……本当に何やってんだろ、引き車の中で……


「あ、そこの奥さん」


 僕は、さっきのお母さんに声をかける。


「あ、あらぁ〜な、何でしょう……」

「いやぁ、お恥ずかしながら聞きたいことがありまして」

「一体何ですぅ? ……20分前まで兵士様が街にいたのに……通報し損なったわ」


 なるほど、つまり……20分前にこの街についた司会ちゃんたち兵士一行が起きない僕をおいてさっさと町を出ていったと……


「それじゃあ、冒険者ギルドに行きたいのですが……」


 誰かとパーティでも組めば聖剣を運んでくれるだろうし……


「分かりました……それじゃあ別の人にお頼みください! ヨシくん行きましょ!」 「はぁ〜い」


 やっぱり、引き車の中にいるのが問題なのだろうか?


「そこの変な兄ちゃん、ギルドに行きたいのか?」


 振り向くと、8歳ほどの女の子が立っていた。

 彼女が身につけているローブはとても大きく、50cmほど地面にくっついてる。


「……君は? 危ないから家に帰りましょうねぇ」

「は? 私はこれでも17歳! れっきとした大人ですよ」


「あぁ〜ハイハイ、お嬢ちゃんのお家はどこですか?」

「だから! 子供じゃないと言っているだろ! ほら冒険者カードじゃ」


 ギルド登録ができるのは17歳からだった気がするしどうせ持ってな……ア、アハハハハハハ


「申し訳ありませんでした!!!!!!!!!!」

「そうだろ? 分かればいいんだ」


 彼女はない胸を一生懸命にはる。

 ……そういえばこの作品胸あるキャラいないな……しいて言うならさっきのヨシくんママが一ば――

「なにか失礼なこと考えてないですか?」


「い、いやいやそんなこと……そ、それよりあなたのお名前を教えてください」


「私は魔神ましんの恩恵を授かりし賢者、ヨシノ! 私の魔力は53万だ」


「おぉ〜」

 突然脳内に白+紫の何かが……おっと、これ以上は何かが危ない気がする。


「まぁ、とりあえず冒険者ギルドまで連れて行って――」

「魔王が現れたぞ!」

「捕まえろ!」


 こちらへ近づいてくる声を聞いた僕は勇者として引き車から降り、聖剣を手にとる。


 ふん! ふ〜ん! 動けぇ!


 突然、こちらへ勢いよく走ってきたヨシノくらいの女の子とぶつかりふっとばされた。

 その拍子に聖剣を持っていた方の手首がちぎれ、一気に目の前が真っ暗になる。


  ★★★


「おぉ、勇者よ! 死んでしまうとは情けない!」


 見覚えのあるおっさんがこちらを見ていた。

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