異次元財源

蓮村 遼

総理は悩んでいた。

 近年の日本において、財源の確保は死活問題である。国防費の増額、少子化対策、災害復興、新興宗教エトセトラ…。やることは沢山あるのに、金がない。本日の激務を終えた沖田総理はベッドに腰掛け、深い深いため息をついた。

「どうしてこうも、上手くいかないものか…。」

ぐるぐると回る思考。それは終わりのない螺旋階段を下るのと同じだ、落ちてゆくのみ。

(ダメだな。これでは眠れなくなるだけだ。)

沖田は潔く寝ることに決めた。ベッドに潜ったは良いものの、螺旋階段からそうすぐには抜け出せない。ますます目が冴えてきてしまいそうで嫌になる。

 カリカリと寝室のドアを引っ掻く音がし、沖田はベッドから出る。ドアを開けると白柴のポチが、沖田を見上げていた。どうやら一緒に寝たいらしい。沖田がポチに手招きをするとポチは尻尾をブンブン振り、我先にベッドへ飛び上がり丸くなる。すでに目を細め寝る体制に入っているポチの頭を、沖田は優しく撫でた。沖田がベッドに入ると、ポチの体温のおかげで足元の布団はほんのりと温められており、沖田の意識はすぐに夢に引っ張られていった。。




        ♫裏の畑でポチが鳴く

         正直爺さん掘ったれば

         大判小判がザックザク♫







 

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