第13話 イカレタメンバーを紹介するぜ!
朝マッキュを食べて英気を養ったボクは、今夜行われる童貞卒業……じゃなくて合コンについて思いをはせていた。白梅女子なんちゃら大学というお嬢様系の大学に潜む美女はどれ程のポテンシャルを持っているのかと……。
ボクの大好物である清楚系な美少女と甘い恋を繰り広げるのか、それともメガネを掛けたインテリ美女にお説教されたりするのだろうか。ボクはバイト先で鍛えられているから少しくらいの罵倒ならご褒美ですよ?
もしかしたら『ごきげんよう』とか『ですわ~』を標準語に組み入れる本物のお嬢様かもしれない。ボクが執事服を着せられてご奉仕する感じですね? ふふ、サービスには自信があるから期待して欲しい。
ストライクゾーンの広さと趣味嗜好の理解度に定評のあるボクならどんなプレイにも対応出来る気がして来た。やはりレベルアップした影響かもしれない、自信満々なのである。あっ、でもロウソクでアチアチとか鞭でピシピシとか特殊なやつはNGでお願いします。
「先輩、ニヤニヤしてキモイですよ~?」
「ふぁっ!? そそそ、そんな事ないですにょ?」
マズイ、バイト中だった。
お昼前からバイトに入ったボクは姫ちゃんと一緒に頑張って働いていた。やっとお昼のピークが過ぎて落ち着いて来たため、ちょっと気が抜けて合コンの事で頭がいっぱいになったのである。
でも姫ちゃんが目の前にいるのに他の女の事を考えるなんて失礼だ。ボクはお詫びの気持ちを伝えるため、姫ちゃんのEカップをガン見した。険しい渓谷を思わせる深い谷間を冒険したら帰ってこれないかもしれない。まさに黒部渓谷。
「うっわ~、露骨におっぱいガン見しないで下さいよー。プリン奢りですからね?」
「……分かりました。ごめんなさいー!」
調子に乗り過ぎてしまった。どうやらレベルアップで自信満々になったボクは謙虚さが下がってしまったのかもしれない。
確かにレベルが上がって魅力が増えたかもしれないけど、キムタコには遠く及ばず、ホッシー曰く髪艶がちょっと良くなっただけなのである。つまり変な自信は捨てて謙虚で紳士な男になろう。セクハラ、ダメ絶対。
反省したボクは、このお店で一番豪華なプリンを姫ちゃんにプレゼントする事を決めた。姫ちゃんのEカップのように大きなプリンがお店の名物である。
「それにしても今日は何時にも増して嬉しそうですね。何か良い事でもあったんですか?」
姫ちゃんが客席を見つめて何時でも対応出来るようにしながら聞いてきた。ボクも負けじとEカップから目を離して客席を見つめた。
このお店は店員さんの制服がエチエチなメイド服という事もあり、男女のデートで利用される事は少なく、休日である今日も若い女性が多く来店するのである。
ボクのような寂しい男性もたまに来るけど、周りの女性からの視線を浴びる男性は非常に居心地が悪いのだ。ボクも初めて来た時『うわっ、あいつ何でいるの?』という好奇の目を向けられた事がある。つまり心の折れない常連のインテリメガネはタフなリーマンなのだ。
「実は今晩、友達と居酒屋で飲み会があるんだ~」
窓際に座ったストレートヘアの可愛い女の子がボクを見てニコっと笑った気がした。やっぱり魅力が上がった効果か!?
「えー、飲み会とか好きなんですか? あたしなんて未成年なのにお酒飲まそうとする先輩ばっかりでマジうざいですよ。あっ、もちろんうざいのは大学の先輩の事ですからね? 先輩がうざい訳じゃありませんよ? うざいのは先輩じゃなくて違う先輩です」
「…………何でそんなうざいを連呼するんですかねぇ」
ボクは客席から目を離して姫ちゃんにジト目をしてみた。でもおかしい、客席を向いていたはずの姫ちゃんがボクの方を向いて胸を強調するように腕を組んで寄せて上げていたのだ。Eカップを寄せて上げたらもうFカップですよ!
頑張って姫ちゃんの目を見ようと力を入れているのに、何故か視線が下に移動してしまう。
「ふふ、プリン追加ですね♪」
ボクと目が合った瞬間にニヤリと笑われた。どうやら今日のバイト代は全部無くなりそうです。
◇
大学の最寄り駅のすぐ近くにあるリーズナブルだけどちょっと高級感を出すオシャレな居酒屋にやって来た。ボクは初めてだけど、ホッシーが教えてくれました。
「おお、めっちゃ気合入ってるな。そんなネックレス持ってたんだな」
「えへへ、誘ってくれてありがとうホッシー」
どうやら男子は先にお店に入って作戦会議をするのが定例らしい。楽しみ過ぎて早く着いちゃったから一番だと思ったら、既にホッシーが待機していた。
ボクの手持ち装備の中からオシャレな感じのジャケットとかコートとか装備して来た。あと暗殺者の指輪をチェーンに通してネックレスに改造してみた。
合コンで指輪をしていると彼女持ちみたいに見られるかもしれないし、暗殺者の指輪は音が出ないから不自然だ。ネックレスにすればオシャレなアクセサリーになると閃いたのだ。
「待たせたな!」
「おお、ミッチー今日は宜しく~」
「ユウタです。よろしくおねがいしますー!」
ミッチーと呼ばれた男性が入って来た。背が高く190cmくらいありそうだ。ボクと並んだら大人と子供です。そして野太いイケボを発するイケメンだった。短髪でキリっとした表情は、まるで戦国時代で無双する武将を思わせる渋さがあった。ヤバい、こりゃ勝てねぇ。
「うちの部員がドタキャンしやがった。だから今日はこの三人だ」
「マジかー、相手は大丈夫?」
「フハハハハハ、安心しろ。相手も人数はピッタリになるように調整済みだ」
「サンキュー、さすがミッチー気が利くな」
ふむ、話を聞いたところメンバーはこれで全員らしい。元々何人呼んでいたのか知らないけど、ボクは危機的な状況であることが分かった。
全員揃った事だし、合コンに参加するイカレタメンバーを紹介するぜ!
『王子様系のイケメン……ホッシー!!』
流れるようなサラサラの黒髪と甘いマスク、性格までイケメンな彼にキュンとしない女性は皆無である。ボクとホッシーのどっちを選ぶか聞いたら普通はホッシーになるだろう。
『俺様系のイケメン……ミッチー!!』
見上げる程に高い身長に野太いイケボ、俺に着いて来いと言わんばかりのリーダーシップに男女関係なくキュンとしてしまうだろう。ボクは遠慮しますけどね。
『そして三人の中で唯一の欠点……ショタっ子ユウタ!!』
日本の男性における平均身長を著しく下げている合法ショタっ子。女顔で女装したらモテモテになること間違い無しなポテンシャルを秘めたダークホース! だがしかし、まだ誰にも確認されていない股間には逞しい愛棒が備わっているのである。本当に二十歳なのかと思われる言動とアホっぽさは、もしかしたら栄養の全てを愛棒に注ぎ込んでいるからなのかもしれない……。ちなみに賢さは5です!
「…………どうかおねショタ好きのお姉様が来ますように」
このイケメン達に勝つには特殊性癖の女性が来る事を願うしかないのだった……。
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