ドラゴンの魂を持つ俺が魔石を食べてヒーローになるまで ~異世界のお姫様やトップ芸能人とは関わり合いたくないのだが?~

ちゅんちゅん7

第1話 惑星爆発


 とある惑星が、今、この瞬間消滅しようとしていた。その原因は超巨大隕石との正面衝突。


 一瞬にして緑は失われ、そこに生息していた何千何億という魔物が消え去った。



 最後までしぶとく生き長らえていたオーガやドラゴンといった高位の魔物たちも、異常気象による絶対零度や火山の大規模噴火によって結局は全滅するに至った。


 唯一生き残ったのは、ある1匹のクマムシ。


 ・・・そう、魔物でもなんでもないただのクマムシ。灼熱の炎に焼かれようとも海に沈められようとも、空気が無くなろうとも彼だけは生き延びた。




「ハハハ、クマムシ最強説は本当だったみたいだね。まさか君が生き残るなんて。」


(?)


「僕のことが不思議なのかい?僕はこの世界の神だよ。」


(か・・み・さま)


「そうさ。といってもこの星もあと10分程で大爆発を起こして消滅してしまうから、僕も死んでしまうんだけどね。一心同体ってやつさ。」


(・・・え?)


「そんな悲しそうな顔をしないでおくれよ。本望なんだから。」


(・・う・ん。)


「あ、本題に移らなくちゃね。この星が滅ぶのはもう変えようがない事実だから仕方が無いんだけど、君は宇宙に投げ出されても死なないだろう?とすると、この先ずっと宇宙空間を無意味に漂うことになってしまう。流石にそれはこの星の神として申し訳なくてね。だから僕の最後の力を振り絞って、君に1つプレゼントを贈るよ。」


(?)


「フフフ、転生って言葉を知っているかい?次はどんなふうに生きてみたいか言ってごらん。これは生き残ったご褒美だよ。」


(・・・自由に動き回りたいです。あと魔法を・・)


「OK、なるほどね。それならドラゴンなんてどうかな?空も陸も思いのままだし魔法も得意だよ。」


(・・・はい。)


「よし。あとは何か希望はあるかい?」


(・・特に・ないです。)


「ほほう、謙虚だね。」


 クマムシの回答に感心する神様。気に入ったとばかりにうんうん頷く。


「それなら、、そうだな。サポート機能とスキル一式、ついでにスキルも習得しやすくして、うん、あとはおまけに今の君の特質、つまりさまざまな耐性も受け継げるようにしておくよ。」


(・・・ありがとうございます。)


「ああ、それと魔石を食べることで強くなれるから、転生してから自分で成長させてね。まぁ詳しいことはあとでサポート機能にでも聞いておくれよ。」


(はい。)


「それじゃあ今から君に魔法をかけるからジッとしていてくれ。これが僕の命を削って行使する最後の魔法さ。」


 

 そう言って、少年の姿をした神様は、小さなクマムシに手をかざした。


 眩(まばゆ)い光が辺り一面に広がり全てを包み込む。


「今から君が行く世界の名前は「チギュウ」だよ。いろんな種族が・・・・ウッ!」


 その時だった。


 転生魔法の途中でこの星は大爆発を起こし宇宙のチリとなって消滅した。



「・・・2度目の人生を楽しんでおくれ。君は僕が神として生きた証でもあるからね。応援しているよ。」


 クマムシの耳に最後にそう聞こえたような気がした。

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