奇々怪々

ゆりぞう

用水路

 用水路の橋の上からそれぞれが葉っぱを落としていき、すぐに橋の反対側にいき誰の葉っぱが一番早く橋を越えてくるか――そんな遊びを子供たちはしていた。


 最初はきゃっきゃっと楽しそうに遊んでいた子供たちではあったが、次第におかしなことに気付く。



 遊んでいた人数は三人。


 本来ならば葉っぱは三枚しか流れてこないはずなのだが、橋を越えて流れてくる葉っぱの数は四枚、五枚と増えていくのだ。


 勿論、子供たちも他の葉っぱが流れてこない時を見計らい、用水路に葉っぱを落としていた。ならば、橋の下で引っかかっている葉っぱが流れて来たのかと思い、橋の下を覗いてみるが、特に葉っぱが引っかかっている様子はない。



 普通ならば気味悪さから逃げ出すのだが、子供たちはそれが面白くてたまらなかった。




 その後も用水路の橋の上から葉っぱを流して遊んでいると、最初は葉っぱの数が増える、次は空のペットボトルが流れてくる、その次は体長一メートル程の魚がばしゃばしゃと用水路を下っていくではないか。



 これには子供たちも大喜び。


 何故、葉っぱが別の物に変わるのか興味を持った子供たちは、二人が橋の下を見て残りの一人は橋の反対側から流れてくる物を確認しようという事になった。



 反対側で橋の上から流れてくる物を見ていた子供の元に流れてきたのは、友達の着ていた服だった。


 急いで反対側に居るはずの友人二人を見るも、そこには友人の姿は無かった。



 怖くなってしまった彼は、泣きながら家に帰って親に事情を話し、両親や警察が友人を探したが、現在でも友人二人は見つかってはいない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る