第27話 魔国へ VSマモン

「筋斗雲――っ」


俺は筋斗雲を呼び飛び乗った。


まるで飛行機に乗ったように景色が変わっていく。


いや、本気出したら一瞬で魔王国に入り城についた。


一瞬で10万8000里(6万500キロ)を飛ぶ筋斗雲。


マッハ17万6000で空を飛べるんだから、何処へでも簡単に行けるよな。


途中ハービーみたいな魔物も沢山いたが全部躱しながら此処にきた。



魔王城はもう目の前だ。


「貴様、何処の魔王…様だ、此処は魔王ルシファード様の居城…だっです」



なんだか怒りと畏怖と混じって可笑しな話し方している。


「俺の名前は孫悟空、魔王がどんな人物か見定めにきた」



「孫悟空様…だと…貴様 いえ貴方様みたいな新参者の魔王が…なにようか、ですか」


話が解らない。


「あの、真面に話せないなら、他の方に変わってくれませんか?」


「お前が気を駄々流しに..してますからこうなります」



「気を押さえれば良いのか? こう…」



「ありがとうございます…いえ、お前ルシファード様になんのようだ」



「いや、どんな奴か会いにきただけだ」


「お前、新米の魔王だろう? 物凄く強そうだが、孫悟空、そんな魔王を俺は知らない…魔王の中でも最古参のルシファード様が会うわけ無いだろう?」


「そうか…なら悪いけど力ずくで此処を通らせてもらう」


「待て…魔王迄成り上がった者はお互いに戦わない…そのルールを知らないのか?」


「いや、皆が俺を『魔王様』と呼ぶが…俺自身が魔王なのかすら知らない」


孫悟空は魔王より強く魔王を舎弟にしていたが…果たしてどうだったのか…


「もしかして、お前、成り上がりなのか? さっきまで気を流しっぱなしだったし…まぁ良い、俺みたいな魔族の下っ端じゃ解らないから幹部を呼んで…」


「面白そうな奴がいるじゃねーか?」


「ひぃ…魔王マモン様」


「おい、魔王って1人じゃないのか?」


「馬鹿野郎…暴虐の魔王マモン様の前だ…新参の魔王は…」


「良いぜ…そいつ新参者の魔王何だろう? 田舎者で恐らく強い奴に出会った事がねーんだな…俺がしつけてやろう」


「お前、今からでも謝れ…」


「マモンって言うんだ…強いの?」


「ああっ強いぜ俺は魔王の一柱で、魔族全部の中で四天王…尤も単純な戦力なら1番だと思っている…相手になってやろうか?」



魔王って1人じゃないんだな。


力を知る、そういう意味で持ってこいだ。


竜種ですら相手には成らなかった。


だが、西遊記のなかでは孫悟空に近い力を持つ魔王も居た。


丁度よい。


「胸を貸して貰ってよいかな?」


「馬鹿、何をしているんだ…マモン様は手加減が出来ない、折角魔王にまで成れたのに…死んだら勿体無いだろうが、此処は謝れ」


名前も知らんがこの魔族良い奴なのかもな…


「お前は黙ってろ! 邪魔したら殺す」


「ヒィ…はい」


魔王の力を知るチャンスだ。


もし勝てないようなら逃げ出せば良い…それだけだ。



◆◆◆


「良いぜ、新参の魔王…好きな時に掛ってきな」


凄い体だ。


まるで巌のような体…どこぞの世紀末の世界で支配者になってそうな奴だ。


「それじゃ、行かせて貰います」


「来い!」


拳を握りしめ思いっきり殴りかかる。


流石に如意棒までは使わない。


本気のパンチだ。


ドガッガガガガッ ズガーン。


木をなぎ倒しながら岩山のめり込んだ。


「うおおおおおおーーーーすげーな、グハッ…ハァハァ」


高位の竜ですら真二つになったのに…強いな。


「今度はこちらから行くぞーーっ」


巌のような男が走ってきて、そのまま殴ってきた…凄いな孫悟空の体が宙に舞うように空に浮かび上がる。


痛くはないが腹に衝撃が走った。


筋斗雲を呼ぶのは無粋だな。


「身外身、分身の術――っ」


俺は髪の毛を5本ほど抜いて息を吹きかけた。


髪の毛は5人の俺になってマモンに襲い掛かった。


「なに...分身まで使えるのか!」



六対一になってからは余裕でこちらが押していた。


「お前みたいなやり手と戦えるなら、この命等要らね…角」



『やめんかーー』



大きな声が直接頭に聞こえてきた。


「ルシファード様」


マモンが驚きの声をあげた。


どうやら、この声の主がこの国の統治者のようだ。


「魔王ルシファード様から謁見の許可が出ました…どうぞ」


さっきの魔族が走ってきた。


「ちっ、しらけたな行くぞ」


この戦闘狂のマモンが戦闘をやめるのか…


流石は古参の魔王だな。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る