第13話 如意棒と聖剣


「筋斗雲!」


俺は宿屋の窓でそう叫ぶと小さな雲が現れた。


やはり、俺は孫悟空だ。


俺は雲に飛び乗ると雲は俺の意思にそって進みだした。


凄い。


まるで飛行機だ…


凄いスピードで自由自在に飛べる。


城門の上を通過して、近くの森に降り立った。


耳を傾けトントンすると爪楊枝位の棒が出てきた。


これが恐らく如意棒だ。


昔話では一万三千五百斤(約8トン)あるそうだ。


ポケットに入れたら破れて落ちたのも頷ける。


俺が願うと、俺の身長より少し長い大きさになった。


流石に、本物の孫悟空程上手く扱えない。



取り敢えず軽く振ってみた。


何故か如意棒は伸びて…


ズガガガガガッーーガーーン。


これは不用意に使っては駄目な奴だ。


周りにあった樹齢数百年に見える樹を全てなぎ倒し…小さな山を半壊させてしまった。



絶対にこれ『聖剣』より強いよな。


いや、強くて当たり前だ…うろ覚えだが竜宮の宝物庫から孫悟空が無理やり持ってきた物だ聖なるどころか、神が使うような武器だ。


しかも、その中でも屈指の物。


その分、重さも8トン。


魔族や竜種は解らないが、人族じゃ絶対に振れない。


恐らくは俺だけの武器だ。


◆◆◆


良い事を思いついた。


俺の敵は女神だけじゃない…この国の国王、王女にも恨みはある。


正直言えば、城ごと壊しても良いが、それじゃ城の使用人も一緒に殺しかねない。


俺が孫悟空ならありとあらゆる者に変化できる。



凄いな、孫悟空。


羽虫に簡単に変化出来た。



一旦、元の姿に戻り筋斗雲に乗り、城の上空まで飛んできた。


そしてもう一度羽虫になり、城へ入り込んだ。


誰も気がつかない。


現代と違い中世に近い異世界。


虫なんて普通に居るから気にされない。


そのまま飛び回り、隙間から色々な所に入り込む。


宝物庫に入ったが、羽虫なので何も持ち出せない。


暫く、飛び回り…教会みたいな部分にお目当てのそいつはあった。



聖剣を含む聖なる武器だ。


恐らく、これで間違いない。


装飾が素晴らしいし、何より聖堂にある。


俺は羽虫から人間の大きさになって如意棒を構える。


まずは聖剣からだ。


「せーのっと」


思い切り如意棒を聖剣に叩きつけた。


正面からではなく横から。


如意棒は大きさは変わるが、重さは常に8トン。


しかも、聖なる物処か『神具』だ。


聖剣は光り輝き抵抗をした様に見えたが…


ビキッビキッビキッ。


その抵抗虚しく簡単に折れた。


その後は簡単だ、ひたすら殴っていたら粉々になった。


聖杖もあったが、同じように如意棒を叩きつけたら折れた。


『こんな物か』


俺が死ぬかも知れない…それが解っていてこの国の王や王女は追い出した。


あそこで仏様が来てくれなかったら、確実に死んでいた。


『俺はこの国も女神も呪いながら生きていく』そう宣言したんだ。


女神もこの国の王も王女も、見殺しにして俺を殺そうとしたんだ。


この位の意趣返し位しても良いよな!






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