第35話

 岸中と話をした日の夜、クラカミクリエイティブのミーティングルームに園川、玲奈、愛野、松宮が集合した。


 そこに、倉神社長がやってきた。


「みな、遅れてすまない。前の打ち合わせが長引いた」


 玲奈は立ち上がり、


「いえ、これからですので」


「そうか。さて、俺もいろいろ聞かせてもらった。そこで、うちとしてどう動くかを考えていたんだ。やはり俺としては、ヘヴン・クラウドに関わる事業を担う身として、やはり今回の事件を解決したいと思っている。本来は警察の仕事だろうが、専門家として、できることはやりたい。――会社の経営もあるから、すべての時間をつぎこむわけではないが、しばらくはもちこたえられる。そして、おまえたちがその間に経験することも、今後の事業に役立つと思っている。だから、おまえたちには、岸中さんたち警察に協力し、ヘヴン・クラウドを守ってほしいと思っている。どうだろう?」


 玲奈と愛野はうなずいた。


 一方で松宮は、


「俺はよくわかりませんね。なぜそんなことに協力しなきゃならないのか。メリットが感じられません。そんなことのために、この仕事をやってるわけじゃないんで」


 すると松宮は立ちあがり、部屋から出ていった。


 愛野は言った。


「まあ、マツに強制はでけへんけど。わたしは、やろ思うてます」

「そうか。会社としても、可能なかぎりの支援をする。頼むぞ」


 と、倉神社長は立ちあがった。


 園川、玲奈、愛野の3人になったあと、愛野が言った。


「ソノくんの、過去の話。……未由ちゃんには言うてへんの? ソノくんが、恨まれてる、ちゅう話やん」


 それに対して玲奈は、


「ええ。わたしは、まだ黙っているべきだと思う」

「なんで? 卑怯やん。きちんと謝らな。へたに揉めると、しのっちが困るから、だまっとるん?」


 玲奈は沈黙している。


「あかんな。正直にやらな……。いずれ、もっとしんどいことになんで。そんで、ソノくんはどう思っとるん?」


 園川は言った。


「未由ちゃんにとって、一番よい方法を取りたいです。ともかく、輪神教会を止めることは、絶対だと思います」

「――せやなぁ。まあ、本来は未由ちゃんのご両親の話も、元はと言えば教団のせいやし。筋違い言うてもええ話やんなぁ。ややこしいわ」

「もちろん未由ちゃんに、ときがきたらすべてを打ち明け、償うつもりです。彼女がのぞむ形で、すべてを」

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