ヘヴン・クラウド・リコグニション

浅里絋太

Introduction

プロローグ

 国際共通仕様に基づいて展開されるメタバース空間『ヘヴン・クラウド』は、いまや世界中の企業が参入するプラットフォームとなった。

 ヘヴン・クラウドには表の顔――だれもがダイブし、望みの体験を得ることができる――のほかに闇の顔もある。

 闇の経済圏、闇の組織、闇の仕事。

 そのヘヴン・クラウドの闇には、ひとつの伝説があった。



 ――彼らはあらゆる依頼を完全に遂行する。

 ――戦いを挑んでかなう者はいない。

 ――メタバースの闇の救世主だ。いや、悪魔だ。



 彼らは『ヘヴンズシャドウ』と呼ばれ、日本のみならず世界に知られ、畏怖の対象となっていた。

 ある日を境にリーダーが失踪するまでは……。



 ヘヴン・クラウドに絡む不自然死。

 人間の作る『AIの神』のもたらす救い。

 宗教組織、警察、ヘヴンズシャドウたちの思惑が入り乱れる『天国』は、人間になにをもたらすのか。

 その答えはまだだれも知らない。

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