たぶんコレが一番強いと思います！

第20話 たぶん私は私で私も私

　ゼンちゃんと戦った謎のきぐるみ。

　それが残した魔力の残滓が私の魔力と全く同じだった。可能性はただ一つ、実家に置いてきたあの私だけだ。

　あっという間に彼方に消えて行ってしまったが方角的に町に戻ったのは分かる。こちらも用を済ませ空間転移魔法で急いで戻る。私の追跡が見つからないようにナナスキルを使い隠密SSSを取得しておく。

　やっぱりというべきか、カスケード家に続く一本道にルンルンで歩く猫のきぐるみが現れた。

　そのまま追跡して様子をうかがっていると、カスケード家の裏口付近でぐったりと倒れ動かなくなる。探索でコピーエーナが裏口に向かっていることが分かったので、きぐるみを抱きかかえ裏口で待っていることにした。

　扉が開いたところで隠密を解き「ただいまー」と声をかけると焦った様子を必死に隠すように「おかえり」を言ってくれたのだった。

「と、とりあえず部屋行く？」

「そうだね。誰かに見られると不味いからまた隠密使っとくね」

「そ、そうだね」

　抱きかかえたきぐるみを渡し、中へと入る。

　久しぶりの我が家。もっと間が空くと思っていたが意外と早めの一時帰宅となった。

「その猫のきぐるみ可愛いね」

「ありがと、これきぐるみみたいだけど中は綿だからただの大きいぬいぐるみなんだ」

「で、そのぬいぐるみで遊んでたわけか」

「へへへ……」

「思ったんだけど情報共有が必要だよね。あの戦ったプラチナスライムは仮だけど使役してるし」

「あ、そうだったんだ。もしかしてナタの森で回収したやつ？」

「そうそうそれそれ」

「じゃあ味方と戦ってたわけか」

「そーなんだよ」

「情報共有必要だね」

「こうやって会話してもいいけど、すべて把握するのは難しいから」

「分かる」

「記憶まるごと共有するしかないか」

「どうするの？」

　ちょっと待ってと、取り出したのはガイドブック。ナナスキルのページにあるスキルを指す。

　”フュージョン　Cat0”

　”指定した生物と生物を融合させます”

「これ使ってみようか」

「確かに一度元に戻すのもアリだね」

　一緒に声を合わせてポーズを取る必要も無くてもスキルは発動できるらしく、自分とコピーを指定しフュ―ジョンを使用する。無事成功し、屋敷での出来事が記憶として残っているのが分かる。しかしステータスを確認した時、異変に気づいた。

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　エーナ・カスケード　女　12歳　二倍少女

　LV1810　HP111956　MP253160

　STR 5164　VIT 17316　MND 55872

　SPD 1804　DEX 2960　INT 73022

　LUK 264

　スキル

　異世界言語A 空間収納A 鑑定眼A 隠蔽A 改竄A 探索A　

　アブソーブS 探究B 剣術の心得F 盗みのいろはF 感知F 調教の心得A

　錬金術の神髄　隠密SSS マリオネットSSS+ 千里眼SSS+ 裁縫の達人

　毒耐性D 麻痺耐性D 疲労耐性B 病耐性C　

　DEBUG MASTER

　属性魔法適性

　火、水、風、雷、聖、闇、空間、時間

　加護

　精霊の加護

　使役

　プラチナスライム（仮）

　アイテムボックス

　薬草40

　ドレス１

　メイド服1

　簡易地図1

　食パン1

　干し肉1

　寝袋1

　異世界ガイドブック 1

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　スキルの統合、耐性スキルの増加、そして全ステータス値が二倍になっていた。ただ年齢が倍になっていなくて良かったと思う。

「あ、これ、いいのかな。まっいいか」

　深く考えることをやめ、再びコピーエーナを作り出す。

「あー。融合するとステータスバグるみたいだけど、気にしない方向で。あとどうしても会わなければならないときは猫目亭で会いましょ」

「わかったわ。こちらは任せて」

「長居するといつラルンテが来るか分からないからこれで。じゃ、よろしくね」

　隠密スキルを使っているとはいえラルンテの勘の良さを掻い潜れるは限らなかったので、窓から飛び降りカスケード家を後にした。

　猫目亭に帰る途中にギルドによって薬草の買取をしてもらう。

　薬草を調合してポーションを薬屋に売った方が儲けは多いのだが、それだと冒険者としてもレート値が上がらず割のいい依頼を受けることができない。だから最初は地道に稼いでいくしかない。

　でも私にはゼンちゃんという頼もしい相棒のおかげで、ある程度ギルドに薬草を納めてもまだまだ空間収納には多くの薬草が残っている。これでレアなポーションを作って売ることだってできるのだ。

「おっ帰りニャー！」

「ただいまミーニャ」

「おう、帰ったか。晩飯どうするすぐ食べるか？　並べとくぞ」

「ジーンさんただいま。部屋に戻ったらスグ降りてくるからお願いします。それとミーニャ」

「何ニャ？」

「これお土産」

　ほいっと、小さな石を投げる

「わ、わ、わわぁああ。キラキラ石ニャー。綺麗にゃ！　でもこれなんニャ？」

「んーなんだろ、薬草拾ってるとき見つけたんだ。もし気に入ったらあげるよ」

「キラキラ好きニャ！ありがとニャ！」

　本当は拾った石ではない。

　コピーエーナが古い魔導書読んだ記憶を頼りに作った疑似魔石。大きな縫いぐるみに入っているものと同じ物を作ってみた。本物の魔石と見た目の遜色も性能にも差は無い。とういか寧ろ本物よりより洗練され、安定してる言ってもいいかもしれない。

　ガイドブックには小さくても金貨10枚ほどの価値になるとあるがこれを市場に流すとどんな影響があるか分からないので金欠時の切り札にしておこう。ミーニャにあげた理由としてはチップ代わりと言うか日頃のお礼を込めている。ミーニャには価値が分からないかもしれないが、お守りぐらいにはなると思った。

　部屋で着替えた後、食堂に戻るとジーンさんお手製の料理が並べられていて、毎度のことながらおかわりをたくさんして売り上げに貢献できたと思う。

　その後ベットに横になると、充実感を味わいつつ、明日の予定を立てながら眠りについた。