第12話 困ったときに使ってね♡
家出騒動から一夜明け、私は暫く家から出ることを禁じられてしまった。
身から出た錆と言うことだから仕方ないだろう。
ベッドの上で短い冒険を思い返しながらゴロゴロと過ごしていた。
(とっておいたプラチナスライム無駄になるかぁ)
ガイドブック手に取り眺める。
どこで間違ったのか。
そもそも貴族は身の丈に合わなかったのだろうか。
おすすめ通りに選んでも、思い通りにはいかないのは異世界も同じなのかも知れない。
順調に進んでいたら仲間を集め、ダンジョンを冒険している頃なのかも知れない。
もどかしさが押し寄せる。
(んーーーーステータス)
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エーナ・カスケード 女 12歳 反省少女
LV905 HP55978 MP126580
STR 2582 VIT 8658 MND 27936
SPD 902 DEX 1480 INT 36511
LUK 132
スキル
異世界言語A 空間収納A 鑑定眼A 隠蔽A 改竄A 探索A
アブソーブS 探究B 剣術の心得F 盗みのいろはF 感知F
毒耐性F 麻痺耐性F 疲労耐性C 病耐性D
属性魔法適性
火、水、風、雷、聖、闇、空間、時間
加護
精霊の加護
アイテムボックス
【プラチナスライム1】
【ホーンラビット30】
メイド服1
簡易地図1
食パン1
干し肉1
寝袋1
異世界ガイドブック 1
ナナの餞別(困ったときに使ってね♡)1
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強行突破の冒険のおかげでレベルアップと耐性スキルの獲得があったみたいだ。
そしてモンスターの項目に埋もれて忘れかけていたナナの餞別。
(困ったとき、今です!!)
空間収納から出すとそれは可愛いリボンついたプレゼントの箱とメッセージカード
『うふふ、本当に困ってるのぉ? よく考えたかしらぁ~』
なんだかメッセージカードにまで心を読まれているようで、ちょっと冷や汗がでる。
警戒して恐る恐るリボンを解くと箱の中にはもう一枚のメッセージカード
『あらあら、開けちゃったのね。凄いスキルあげるから気をつけて使うのよぉ。あ、スキルの説明は鑑定眼でも調べることができないからガイドブックに追加しておくわねぇ』
凄いスキル?
既にもっている空間収納や鑑定眼とっておきのアブソーブもチートスキルといってもいいぐらいなのだが、それ以上ということなのか。
ステータスで確認すると
DEBUG MASTER
と言うスキルが追加されていて鑑定眼を使っても言われた通り何もわからなかった。
とりあえず、ガイドブックを開くといつの間にかに追加された1ページを見つける。
”スキルカテゴリー0 (Cat0)は一部を除きSLやCDTなどはありません。”
”世界の調整用に使われるスキルです。”
”DEBUG MASTER Cat0”
”Cat0の全スキルを表示させ使用を可能にします。”
……
「世界の調整用……なんだ、これ……」
パンドラの箱を開けてしまった気がして冷汗が止まらなくなる。
DEBUG MASTERで表示させることのできるスキルとその説明は1ページに収められていたが、どのスキルもスキルと呼べるような感じではなかった。
私の中で一番強いと思っていたカテゴリー6のスキル、アブソーブはあくまで仕様内のもの。完全無欠に見えても必ず弱点や対処方法があると言うこと。
カテゴリー0は仕様外、世界の内側ではなく外側のモノだ。それを使うとなればメッセージ通り気を付けて使うしかない。
「ナナの奴はいったいなんでこんなものを私に……」
凶悪そうなスキルには触れず、まずは大丈夫そうなスキルから試していくことにしようと思う。
折角この世界を謳歌しようと決めたのだから、めちゃくちゃにしてはもともこもない。
「安全そうなものから、試してみるか」
自室軟禁中の今なら時間はたくさんある。
「まずは最初は」
”スキルフリー Cat0”
”現在この世界で確認されているスキルを自由に取得できます。発動条件があるスキルは条件は無効化され効果のみ強制的に発動することも可能です。”
「あーダメダメ。強すぎ」
初っ端からとんでもないスキルだった。
種族固有のスキルでも取得できて使えるならチートを超えてそれはバグだ。スライムがドラゴンブレスするようなものだ。
「次は……」
”ノークールダウンタイム Cat0”
”自分の持つスキル全てがCDT0になります。”
「あーこれもヤバい」
強力なスキルや、スキルレベルが低いスキルに枷のような役割をするCDT(クールダウンタイム)。それが全て外れしまうことは隙を生じぬ二段構えどころの話ではなくなってしまう。強力スキルの連続使用ができてしまっては凶悪すぎて悪魔すら近づけない。
ここの一覧から比較的安全(?)なスキルを見つけ出すのも容易ではないのかもしれない。
一歩間違えれば世界のパワーバランスを崩す可能性もある。
「何が調整用のスキルだよ。どうみたって崩壊用だよ」
そでも困った今の状況では頼みの綱であることはには変わりない。
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