冷たい貴方とそんな夢を見た

かれは

1章

1-1 冷たい貴方と

あなたは出会ったときからずっとそうだ。


私を全く見ようとしない。


貴方と出会ったのは、人気の無い森の中。


私は見たことの無い美しいものを探していた。


人の立ち入らない森の中、汚されていない森の中。


いつものようにそこに入り歩いた。


今日で最後にしよう。


今日はとびきり深くまで、もう帰れなくてもいい。


羽が透けて森と一体となった鳥、毒を持つ虹色に輝く蛇。


様々なものを見つけたその日。


だけどその何者も貴方には敵わなかった。


歩いて歩いて歩き疲れたとき、ちょうど太陽が真上に来る頃、私は見つけた。


あなたを見つけた。


何者にも変えがたい美しい姿をした貴方に。


一目惚れだった。


倒木の上に重なるように倒れた貴方はとても綺麗だった。


服といえるものは何も身に付けていない。

手には、先に鋭い石がついた気の棒を持って。



首もとは何かに切り裂かれは紅く輝いていた。


近くの太い木には大きな爪痕が残されていた。


すごく大きい何かと、、、。


彼に木々の間から眩しい光が差し、私の呼びかけには応じない。



あれからどれぐらいの時間がたっただろう。

貴方とはずっと一緒。


私はその間何も食べず。


動くことなくそこにいた。


あなたのためにここにいる。


冷たい貴方と、これからもずっと。


私は本当の美しさを知った


あなたは、都会にまみれたあいつらとは違う。

あなたこそが本物だよ。


そして貴方は私が守り続ける。


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