向き合うこと

 SPACE‐F‐でのミッションが始まった。


 ミッションをクリアしていくごとに、マドカの心は次第に変わっていった。そして、レノだけでなく仲間達を思う心が芽生えていた。


 気が付けば、マドカは、ミコトに恋愛感情を抱いていた。


 特別な存在。


 目的はレノを助けることとわかっていても恋は盲目なもので、マドカはミコトといるその時、その瞬間がとても居心地よかった。


 ――この世界は素敵な世界。ここにいれば、争いも起こらない……きっと、平和なまま暮らせるのよ……。


 マドカは最後のミッションで願った。


 ――ずっと、この世界で生きていたい。


 マドカの勝手な願望だった。


 その時に限って、使えなかった能力を発揮してしまい、願望が、実際に現実化してしまったのだ。


 願望は”一定の”という条件で、仲間達を願望の世界に残すことは出来た。しかし、マドカの作った願望の世界に仲間達が居続けるということは難しかった。


 仲間達が消えていき、次第に精神を病んでいったミコトを見て、マドカは願望の世界を終わらせる決意をした。


 ――私も現実と向き合っていかなければいけないのよ……。兄さんは居なくなってなんかいない……私達の心にずっと眠っているはず……。


 マドカはミコトにキスをした。


「マドカ……‼」


「それでは、ミコト、さようなら。ミコト、貴方が好き……」


 マドカはそう言い、屋上を後にした。


 ――元に戻ったら、またMODSが日本を支配していくのかしら……。


 校門を出たマドカは一人で思った。そして、再び思う。


 ――現実と向き合うための整理がまだついていないわ……。それでも、私がなんとかしないといけないのよ……‼


 マドカは決意して、前を向いた。

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