病弱なミドリ
数分して視界が晴れると森の奥から一人の少年が歩いてきた。その少年がミドリだった。
「誰か来たぞ」
ミコトが戸惑いながら言った。
「こんにちはミドリです」
廃棄場に歩み寄りながらミドリは挨拶をした。
「……え、君がミドリ?」
ミコトはミドリの姿を見て驚いた。
ミドリの体は一般的な小学四年生を想像する華奢な姿ではなく、筋肉質な体形であった。
「君、本当に小学四年生?」
上から下までミドリの姿を眺めたフェンダーは思わず聞いた。
「現実世界では小学四年生です」
ミドリは冷静に答えた
「どう見ても小学四年生に見えない……」
自分よりも体格が良いミドリに対してミコトはトホホと嘆いた。
「現実世界では、こんな良い体はしていません。せめて、SPACE‐F‐の中だけでもパワフルでいたいと、この体を鍛えました。実際、現実世界では病気で入院しています。昏睡状態なので、このSPACE‐F‐に居続けることが出来ているんです」
ミドリは自分の髪を一撫でした。
ミドリの現実はあまりにも気の毒だった。病気がちなミドリは現在入院しており、目を覚ますことが無く、昏睡状態に陥っていた。
ミドリの姉がくれたワンマカのキーホルダーが病室の机に静かに置かれてあった。
「そうなのね、それは気の毒ね」
タソが言う。
「同情は結構です」
ミドリは落ち着いた様子で答えた。
「まあ、これから始まるミッションゲームで楽しもうじゃないか」
フェンダーがミドリの手を取り握手を交わした。
「さあ、五人集まったぞ、レノ」
ミコトはレノに向かって言った。
「ミコト、マドカ、タソ、フェンダー、ミドリ……認証しました。それではミッションを開始します」
レノが発すると霧がかかった雲が世界を覆い、五人に浮遊感を漂わせた。
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