第6話

 いつぶりだろう。

まだ思考が明瞭ではない中で感覚だけが久方の誕生を伝えていた。

後釜の育成や象徴的な存在として扱われ、本来いるべき場所に身を置かなくなり最後に出撃したのはいつだったか。


 いや、誓った直後に決意表明として出たのが最後だった。

頭の靄が晴れてくるにつれ、かつての出来事が、ならあまりにも昔すぎた記憶が、にはつい最近の出来事だったとして蘇ってくる。

身体が別のモノに置き換わっていく。死後転生の際に感覚があったら恐らくこんな感じなのだろう。今までの私が書き換えられているが不思議と嫌な感じはしなかった。むしろ本来あるべき姿に戻っているという喜びや楽しみといった幸ある未来を期待していた。

 作り変えはすぐに終わった。体感数分だったが現実では数秒に満たなかった。感覚が鋭敏化し、今まで意識しなければ感じ取れなかった様々な事象を無意識に感じ取れた。莫大な情報が流れ込み、久方ぶりの身体に順応するのに数舜を要した。

 視る前から分かっていたが瞳を開くと舞台の上に立っていた。多くの者達の視線が刺さる。そこにはかつての私だった残骸が横たわっていた。手を伸ばすと残骸が細かい粒子となって私へと吸い込まれていく。見た目は何一つ変わらない。しかし別の何かと感じさせられるほど異質を纏い、死んだと思われた者が名乗った。


「知らない方は初めまして。ASF(アスフ)第4翼を務める グラス・チェレスタです。 どうぞよろしく。」

後にミルスク聖女として連合民から謳われる慈愛を纏った戦闘狂バーサーカーが笑顔を零した。

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